« 『妖怪ハンター』 諸星大二郎 (集英社文庫) | トップページ | 『私のこだわり人物伝 寺山修司&松田優作』 美輪明宏&リリー・フランキー(NHK出版) »

2006.10.03

「クルミ・ヌイ」〜ツンデレ=あはれにをかし

Kurumi 昨日の諸星大二郎からすごい落差ですけど、それがこのブログの売りですので、ごめんなさい。別にギャップ萌えを狙ってるわけじゃありません。
 今日、子どもが(と言うより母親がかな)TSUTAYAでマイメロのDVDを借りてきました。私たち家族は、くるくるシャッフルになってからの信者ですので、昨年度の第1期マイメロはほとんど未見です。で、少しずつ観ようという魂胆ですかね。賛成です。借りてきたのはいきなり第6巻。うんなかなか通な選択だ。さすがカミさん。クロミちゃんが擬人化した「クルミ・ヌイ」の登場する23話カレと踊れたらイイナ!が入っています。
 私が彼女を見たのは初めてではありませんが、今回ははっきり言って萌えました。「ああこれがツンデレ萌えか〜」と40過ぎたオヤジが激しく首肯したのであります。カ、カワイイ…。
 アニメが生んだキャラであるクロミ。いまや、主人公マイメロよりも絶大なる人気を誇っています。それも女性に「カワイイ」と言われる。怒りっぽくて、嫉妬深く、しかしちょっとセンチメンタルで、強がってるけど実はナイーヴでさみしがり屋。好きな人には一筋で純粋な一面ものぞかせる。そんなキャラが等身大の女の子を思わせるんでしょう。男性としても、あの仏陀のような、あるいはかぐや姫のようなマイメロよりも、実は惹かれたりするのでした。
 そんなクロミちゃんが人間化する!これは衝撃です。つまりまさに等身大の「女の子」になってしまうわけで、これはもう古今東西語り継がれてきた人形の人間化、それも制限時間付きという常套句を伴ったものなんですが、そういう古典的な語り口に、正直やられてしまうわけですね。ものすごい切なさがあるわけです。恋する人とダンスするために、制限時間付き人間化を遂げるぬいぐるみ。夢は叶いますが、もう時間がありません…。
 さて、ここからが本題ですが、これを観ていて、ふと思ったことがありました。また、マイメロからとんでもない発想が!私にとってマイメロは素晴らしい(変な)アイデアの源泉であります。
 クルミちゃんはたま〜にしか登場しませんが、それゆえにコアなマニアを生んでいます。それは多分に「ツンデレ」という属性による部分が大きい。ふだんは「ツンツン」している女の子が、ある状況になると突然「デレデレ」する、そのギャップが琴線に触れるというやつです。ツンツン時々デレデレ。クロミ時々クルミ。
 ツンデレに限らずある種のギャップが人を惹きつけるというのはけっこう普通のことですよね。そうしたギャップ萌えみたいなのって何なのかなあと考えたんです。で、事例として、今回私がクルミちゃんに感じた萌えの感情というのを、瞬時に分析してみたんです。そうしたら面白いことに気づいた。
Kurumi2 ツンツンしていて「思い通りにならない」ものが、突然デレデレして「思い通り」になる。これって私のいつもの言い方ですと、「もののあはれ」と「をかし=萌え」の組み合わせですよね。あはれ時々をかし。不随意で、ある意味嫌悪や忌避の対象であるべきものの中に、ふと随意で「カワイイ」属性が垣間見えた時の感情。発見の感動。真っ暗な闇に突如現れた一点の光。荒野に咲く一輪の花。
 これを古語で表現したなら「あはれにをかし」でしょうか。例えば、枕草子の有名な段に出てきますねえ。「野分」の段です。
 「野分のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ」
 つまり、「台風の次の日って超ギャップ萌えじゃん」って言ってるわけです。実際よく読んでみると、台風という当時は全く不随意の自然の猛威のあとに訪れる特殊な状況、稀有な風情について語っているんです。「ものあはれなるけしき」を背景として、そこに「きよげなる」女や「うるはしき」女が配置されていることに対する「をかし」の感情です。台風と美しい女の対比、ギャップこそが主題となっています。
 また、あまり知られていませんが、同じ枕草子の「九月ばかり」という段にも、「あはれにをかし」が出てきます。雨が一晩中降り続くも朝には晴れて日が差している情景について書かれています。
 「…蜘蛛の巣の、こぼれ残りたるに、雨のかかりたるが、白き玉を貫きたるやうなるこそ、いみじうあはれにをかしけれ」
 憂鬱な雨の後の光り輝く雨露を描写した秀逸な表現です。ここでもその憂鬱な雨自身がもたらす繊細で美しい光景に感動しているわけであって、やはりコントラストやギャップに萌えていると言えなくもないような気がしますね。
 「あはれにをかし」をワタクシ流に直訳すれば、「予想外で素敵」ということにもなるわけで、これはまさに「ツンデレ萌え」と同じ性質の感情ではないかと思うのです。まあ、私がクルミちゃんに抱いた感情と、清少納言が雨の後に抱いた感情を同列に並べるな!っていうツッコミは当然のこととして甘受いたしますが、実は当たらずといえども遠からずではないかと、内心思っているのでありました。
 やれやれ、またとんでもないことになってしまいましたね。すみません。ところで、ここに勝手に引用した画像ですが、実はもうすぐ発売されるクルミちゃん柄の抱き枕なんです!ここで「いとをかし=超萌え〜=非常に手に入れたい」と申したら、カミさんから激しいツッコミが入りそうですね。やめときます(笑)。

クルミ・ヌイ再臨!

Amazon おねがいマイメロディ Melody6

クルミ・ヌイ抱き枕

不二草紙に戻る

|

« 『妖怪ハンター』 諸星大二郎 (集英社文庫) | トップページ | 『私のこだわり人物伝 寺山修司&松田優作』 美輪明宏&リリー・フランキー(NHK出版) »

アニメ・コミック」カテゴリの記事

モノ・コト論」カテゴリの記事

文学・言語」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。
野分についてのエントリを書いたので、「あはれ」を検索していたらこちらに辿り着きました。「あはれ」と「をかし」の違いを調べていたところでした。そうですよね、『野分』の段は「あはれにをかし」、ひとくくりでみればよかったんだ!と得心したので、嬉しくなって、ご訪問させていただいた足跡を残します♪

投稿: セイ | 2006.11.11 10:30

セイさん、コメントどうもです。
なんかすみません、ふざけた記事で。
でも、「あはれ」と「をかし」については、ちょっぴり自信を持っております。
私だけがホントのところをわかっていると…(笑)。
これに懲りず、またおいでください。
では。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2006.11.12 08:44

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/55913/12142883

この記事へのトラックバック一覧です: 「クルミ・ヌイ」〜ツンデレ=あはれにをかし:

» ツンデレ恋愛講座開講中! [ツンデレ恋愛講座 〜 ツンデレを愛する男はリアルな恋愛を手にすることができるか?]
ツンデレを愛している人のためのサイトです。 ■ツンデレ恋愛ヒロイン アニメやコミックのツンデレなヒロインを紹介して、ツンデレな恋愛劇のかわいさと切なさを、あなたと分かち合います。(笑) ■ツンデレ恋愛講座 ツンデレを愛する男性向けに恋愛講座を開講中です。 ツンデレが好きな男性は、アキバ系などと揶揄されやすいのですが・・・ アキバ系の男性というのは、ほんのちょっとした変化で彼女ができるだけじゃな... [続きを読む]

受信: 2006.10.04 16:18

« 『妖怪ハンター』 諸星大二郎 (集英社文庫) | トップページ | 『私のこだわり人物伝 寺山修司&松田優作』 美輪明宏&リリー・フランキー(NHK出版) »