『働きマン 1〜3』 安野モヨコ (講談社)
ぎゃあ〜、マンガ3連投だあ。ありえね〜。しかし、昨日も書いた通り、人は想定外にして育つ。苦手なことにも頑張って挑戦しましょう(笑&泣)。
昨日の記事の中にも登場しました安野モヨコさんの人気漫画、アニメ化もされているという「働きマン」を読んでみました。これも生徒からの借り物です。女子生徒から借りることが多いんで、どうも偏りがあるような…。ま、いいか。
さて、これはまず結論から。松方弘子、全然女として魅力を感じません。たまに乳出ししてるとこくらいかな、男としては。彼氏に振られるのも仕方ないっすね。たとえば女子生徒なんかはカッコいい〜とか言うんです。憧れる〜とか。それは分かりますよ。男勝りに働いて(だからマンなんでしょ)、男を怒鳴りつけて、でもふと女になる瞬間があったり…。まったく女はぜいたくです。男みたいに仕事もしたい。でも女として恋愛もしたい。松方さんはあんまり言いませんけど、中には加えて結婚して子どもも産んでみたい、子育てもしてみたい、なんて人も多い。男なんてそう考えると、もう新しい可能性なんて最初っからない。
こんなふうに書くと、(いろんな意味で)そんなことない!って怒りだす女性も男性もいるでしょうね。私は全然フェミニストじゃないし、男尊女卑派でもないんで、女性には女性として自然に生きていただきたいと願うのみです。他意はありません。
それにしても、面白いと思ったのは、ここ3連チャンのマンガ全てが「もののあはれ」がテーマになっているということです。本当に日本人は好きですね。昔からなんの変りもありません。つまり、自分の思い通りにならない切なさ、やるせなさです。しかし、そこで虚無主義に陥らないのが日本人の偉いところですな。私も冒頭に書いてますが、そういう不随意な想定外な状況で、小さな喜びを見つけ、くじけそうになってもまた自分を奮い立たせて頑張っちゃう。そして、いつのまにか自分が大きくなっている。
これは、「縁」によって「自己」が立ち上がる、すなわち「色即是空」そのものだと思います。そういう公理を知っていて、そこに自分を委ねることができる(「色即是空」ってことかな)日本人は、ある意味お釈迦様の教えをよく理解して実践しているということになるようにも思います。
そして、それがこうしてエンターテインメントになってしまう。これはすごいことですよ。冗談抜きで世界に誇る文化だと思ってます。夏目房之介先生の御著書について書いた時にも書きましたね。日本のマンガ文化、おそるべし。
さて、メディアとしての「働きマン」に関して、私の率直な感想を。えっと、ちょっと不満ありです。なぜなら、あまりに説明が多すぎる!そういう語り口なんでしょうけど、ちょっと説明過多じゃないでしょうか。セリフ以外の言葉が多すぎます。コンテクストや絵で表現すべきところまで、あるいは表現できているところまで、説明が入っている。こちらの想像力に対する大きなお世話なんですね。ま、だからこそ分かりやすくて人気があるのかもしれませんけど。
その反対に、絵が単調すぎる。特に主人公の表情がいつも同じような感じで、まるで「南極2号」みたい(って分かる人は分かるかな)。それが一つの記号として機能してるのかもしれませんが、もしこれがドラマの女優だったら、超演技ヘタっすよ。目が死んでます。私が彼女に心から惚れられないのは、きっとそういうことなんだと思います。
一方、男としましては、彼女をとりまく男の方に感情移入したいのは当然のことでして、そういう意味においてもちょっと物足りないような気もするのでした。やっぱり女性から見ての男性像しか描かれてないような。
私は今日も現実の男として、仕事をこなしていきましょうか。想定外で面倒な問題が…。
Amazon 働きマン(3)
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