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2006.10.16

『略語天国』 藤井青銅 (小学館)

409387669x01_scmzzzzzzz_v60965497_ クレしん、コスプレ、ジミヘン、デパ地下、全学連、SMAP、DHC…1000点満点でおよそ920点ってとこですかね。私はこの分野はかなり自信があります。自分でも教材として毎年「四拍略語」のプリント作ってたくらいですからね。
 日本語は略語が大好き。この本では、400の略語を原形に戻す(一部その逆)というドリルがメインになっており、それらを面白おかしく、時にまじめに分析して、最終的に法則性(のようなもの)を導き出しています。ドリル以外にも本文で解説されている略語もありますから、全部で500近い略語が紹介されているんではないでしょうか。
 私たちの生活にすっかり定着している略語を、これだけしっかりまとめた本は初めてかもしれません。それなりに楽しめましたし、勉強にもなりました。本としてはいちおう「略語検定」という設定でありまして、私なども結果として最上級ランク「超略」という称号をいただきました。うれしいような、別にどってことないような。ただ、略語研究家?の私としてはですねえ、ちょっとツッコミを入れたいところがあるんですよ。
 まず「○文字略語」という言い方をしていることです。その結果、「ヨシギュウ」を五文字ととらえて、「ヨシノヤ」より長くなってしまっている、というような記述があります。そのあと、「音節ならば四音節→三音節に減ってはいる」なんてあるからさらに困ったものです。「ヨシギュウ」も「ヨシノヤ」も四音節ですよね。だから、私は四拍略語のように言うんですよ。拍(モーラ)でとらえるのが正しい。ほかの箇所にも「文字」でとらえたための間違いがいくつかありました。
 あと、この本には「旬」があるよなあ、っていうツッコミというか心配。略語は流行と関係が深く、さらに新略語が日々生産されますから、こうして最新のものを集めたつもりが、1年後にはすっかり古くさくなってしまうのです。だから、私は毎年プリントを更新していました。私は200の略語を厳選していたんですが、毎年そのうち一割くらいは更新していました。それほど回転が早い。筆者は毎年改訂版を出すんでしょうか。
 それから、これはツッコミではありませんが、私の略語観をちょっと披瀝します。キムタクのような四拍略語が作られやすいのは、漢語(風)の二字熟語の影響が大きいのではないでしょうか。二字熟語のほとんどは二拍+二拍で四拍です。そして、日本人は漢字が表意文字であるがために、その字面からその意味を推測して理解・使用しています。そのような感覚で、漢語や和語やカタカナ語の音と意味を抽出して組み合わせているのではないでしょうか。ですから、英語のように頭文字をただ抜き出して組み合わせるというような略語には抵抗がある。そのことはこちらにギャグ化して書きましたね。これ、自分で読んでも笑っちゃいます。いまだに覚えてないし。
 さて、筆者の指摘する、最近の若者の略語が三文字(私風に言うと三拍)に偏りつつあることや、あえて頭を略して後を残す「オフビート略語」というのには、大きくうなずきました。特にオフビートがちょいワルな感じを醸すというのには、私も全く同じ考えを持っていましたので。音楽といっしょです。裏打ち系。
 この本を読んだら、今度は自分の身の回りの略語を探してみましょう。意外に自分の家族しか使わないものとか、方言のようにその地域にしかないものとか、いろいろあって楽しいですよ。おっと、今テレビに「エヴァケン」が!軍事評論家の江畑謙介さんです(笑)。
 あっ、そうだ。KAT-TUNってどうなるんだ?Aの人どっか行っちゃうんでしょ?

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