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2006.10.04

『私のこだわり人物伝 寺山修司&松田優作』 美輪明宏&リリー・フランキー(NHK出版)

知るを楽しむ 4月5月テキスト
6189144 最近ちょっとほめすぎかな、NHK教育を。でもけっこうチェックしきれず見逃してしまう番組も多い。これも完全に見逃してしまいまして、遅ればせながらテキストで勉強しました。ああ、観たかったなあ。
 最近では、同じ番組の、香山リカさんの「ジャイアント馬場」&唐沢俊一さんの「円谷英二」も、時々しか観ることができず、結局テキストを買いました。まあ、こうして活字で読むのも悪くないんですけどね。でも映像じゃないと伝わってこない「気持ち」ってあるわけで、やはりこの番組の「こだわり」の部分、つまり「愛情」だと思うんですが、それは文字には乗りにくいかも。「愛」ってたいがい「沈黙」で表現されますので。言葉にならないものですから。
 それにしても、この二人の組み合わせはすごいですねえ。「寺山」と「優作」ですよ。この前、日曜美術館30年のところでも再確認しましたけど、70年代、80年代ってすごかったっすねえ。
 さてさて、この二人、一般的には対照的とされるかもしれませんね。というか、どちら派かって、けっこうはっきり分かれるんじゃないでしょうか。私がどちら派か問われたら、これは間違いなく「寺山派」と答えるでしょうね。なぜか…よくわかりませんが。間違いなくそう答えます。リリー・フランキー美輪明宏のどちらを選ぶか、というのと同じくらい感覚的なものですけどね。あっ、もちろん美輪さんです。
 でも、この二人、いや四人でもいいや、彼らって男にも惚れられるタイプですよね。そういう意味では、私の中ではなんとなく同じ引き出しに収納されてるんですよ。結局、あらゆる意味で自分を超えた存在ということで、そこには「天才」「カリスマ」と書いた紙が貼ってあるんですよ。
 寺山修司にしても松田優作にしても、常に新しいことに挑戦した。既成のものをぶち壊してまで新しいものを生み出した。そのエネルギーのすさまじさですね。命を賭してまで世界と戦ったんでしょう。二人とも演劇を仕事にしたとか、エンターテイナーだったとか、そういうことではなかったようです。彼らの人生そのものが演劇になったということじゃないでしょうか。今、そういう男、いますか? 
 平凡な男として、なんとなく扇動されたいんですよね。そういう願望ってあると思います。松田優作のファッションから歩き方まで、とにかくマネしたいとか、寺山風の言葉づかいをしてみたいとか。ものまねの素材になるような人がいないじゃないですか、最近。強烈な個性やオーラを持った男が減った。つまらん世の中だなあ。安倍さんなんか、全然男が惚れられない。
 さて、このテキスト、両者ともに、元奥さんと語り手との対談が圧巻でした。いろいろと引用したい言葉もあるんですが、ちょっと長くなったんで割愛します。バックナンバーも手に入りますから、興味のある方はお求め下さい。
 あんまり懐古に走るのは好きではありませんが、自分も含めて時代がパワーダウンしているような気がします。やはり扇動し先導する「男」の存在が必要なんじゃないでしょうか。待望します。

Amazon 寺山修司&松田優作

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