『クマとインテリ』 basso (茜新社)
というわけで、昨日の記事の続きです。さっそく腐女子くんが、オノ・ナツメさんの仮の姿、いや本来の姿basso名義の代表作を貸してくれました。これはモロにBL(ボーイズラブ…今、ボーイズラブって打とうとして、ボーズラブと打ってしまった…笑)系であります。いや、これは大人の男の物語だから、メンズ・ラブかな。
私も、いちおう歴代腐女子生徒たちに同人誌などを見せられたりしてましたから、けっこう冷静に受容できる方だと思います。ってか、全然ソフトでしたね。はっきり言って抵抗全くなし…な私って…いやいや私は完全なるヘテロですからね。
でも、正直美しいなあと思いましたよ。つまり男女の愛では成し得ない境地というか、いやいや、実は男どうしでもやっぱりあり得ない。だいたいが、からみのシーンにツッコミを入れると(野暮ですみません)、人間工学的にはああいう美しい体位はあり得ないっす。ということは、リアル男からすると、彼らは男でもない。でも、そんなことは腐女子からするとどうでもいいことなんですね。
男女の性的関係という、リアルであんまり美しくもない世界に、経験的もしくは予感的に潜在的嫌悪を催す女性たちが抱く幻想。それがヤオイ的宇宙なんでしょうな。男女のからみがいかに美しく描かれようと、女である彼女たちの感情移入は、当然描かれた女の側に向けて行われます。そこにはどうしても自分というリアル女が混入してしまうわけです。基本リアル世界では女は「受」ですから、その立場から脱却することも無理。女どうしが描かれていたとしても、自分が女であることは避けられませんから、余計にリアルになってしまう可能性大。
とすると、彼女たちの理想的な性的もしくは精神的恋愛嗜好を満足させるためには、自分にとってリアルではない男どうしというシチュエーションを作るしかないわけです。あくまで幻想ですから、人間工学なんてどうでもいいわけですし、リアル男の精神構造なんてのも無関係。しまいには、体にも心にも架空の穴を作ってしまう。そして、そのファンタジー・ホールに自らはまって、そこで遊ぶわけです(…なんてまじめに分析してる私もそうとう変ですな)。
で、男からすると、そりゃあないだろうってことになる。ヘテロは基本が理解できませんし、ホモは違った意味での違和感を抱く(と思います)。ただ、自分もそうなんですが、思いきってフィクションで遊ぼうとするならば、それなりに楽しめたりします。ファンタジー・ホールにはまることは無理ですが、フィクションにだまされてみることくらいならできますね。
ところで、こうした男色趣味には、古い古い伝統があります。男の男色は、ボーズラブ…じゃなくて坊主の外道や武士の衆道に見られるように、貴族文化とは別のところで発達しました。女の男色趣味は江戸には花盛りでした。現代の腐女子文化もその系列で、これはある意味男のオタク文化とともに貴族文化だと言えるでしょう。
いつも書いているように、貴族文化は「萌え=をかし」で、武士の文化は「切ない=もののあはれ」です。つまり、貴族は幻想の中で自己の欲望の実現を図るんですね。一方の武士や坊主は現実の中で自己の欲望の実現が阻まれるんです。オタクは命がけじゃないんだよな、今も昔も。
私はよくわかりませんが、腐女子やゲイの方々の話をうかがう限りは、ファンタジー・ホールは「萌え」ですが、リアル・ホールは「切ない」らしい。これは完全に別世界として考えた方がいいですね。いずれにせよ、私には穴ザーワールドですなあ、こればっかりは…。
Amazon クマとインテリ
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