『僕たちの戦争』(TBSドラマスペシャル)
まず一言。原作読んでません。期待もあんまりしていませんでした。で、結果、いろいろな意味で考えさせられました。全体としては悪くないドラマでしたね。
あらすじなどは公式ページを御覧下さい。
私、いちおう教育者として戦争を扱うこともあります。それに関してこの場でも何回かコメントしましたね。使う教材としては、最後の弾丸、火垂るの墓、ライフ・イズ・ビューティフル、ゆきゆきて神軍などを紹介しました。
今回のドラマもいちおう使えるかな。最近のギャルどもにはちょうどいいかもしれませんね。軽みと重みのバランスが適度でしょう、今の子には。タイムスリップとか入れ替わりみたいなのは、エンターテインメント作品の定番です。それは効果的ではありますが、どうしても作品の重みが減じます。特に歴史的事実に基づいたものを作る際は大きな危険を伴います。時間を操作することは、歴史に対する冒涜になりかねないからです。今回も前半は、ああ痛い痛い、やっちゃったよ〜、と思いながら観ていましたけれど、その演出に慣れてくると、許せるようになってくる。教材として観ていると、おっこれは使えるな、というシーンがけっこうあるんです。
結局、戦時中も現代もおかしいってことでしょうかね。そのへんは象徴的に描かれていました。主人公が死に際に、今も昔も人間は同じだということをとうとうと吠えていましたが、そこには感動するのではなく、がっかりしたり、うんざりすべきでしょう。人間なんていつでもこんな程度です。時代に流されて生きていく。どちらも狂気という感じがしましたけれど、まあどちらか選べと言えば、やっぱり現代かなあ。
さて、エンディングが賛否両論のようですね。よくわからないと。それがいいのだ、という意見と、なんなんだよ〜すっきりしねえよ、という意見。たしかにそういう作り方でした。なんかウワサによると原作もこんな感じらしい。
私はけっこうはっきり解釈してしまいましたが、皆さんはそうでもなかったようですね。いちおう私の意見を書いておきましょうか。これが答えではありませんけどね。
タイムスリップというのはあくまで象徴であって、実際にはそんなことはなかった。まあ夢みたいなもんかな。入れ替わった間の記憶は、本人たちにも、周囲の人たちにも残らないのでしょう。あるいは、その間、別の(というか本来の)物語が同時進行していると。で、どうしてこんなような迂回が生じたかというと、やはり、回天で非業の死を遂げた吾一の念の強さでしょうね。彼の文子に対する(そしてこの世に対する)気持ちが、海を介して健太に乗り移ったのでしょう。そして、文子の孫のみなみの胎内に宿る。転生です。最後、吾一が海で溺死する?シーンは明らかに胎児とへその緒を意識した映像でした。実はこんな感じで、いろいろな物語が同時進行していて、いろいろな念(魂)が転生しているのかもしれませんね。最新の科学もそんなようなこと言ってますし。
ま、所詮視聴率勝負のテレビドラマですからね、脚本や演技や音楽やCGの安っぽさは現代風な戯画として観ればいいでしょう。ギャルたちにはちょうどいいんでしょう、このくらいが。そうした戯画を通じて、たしかにちょっと重めのテーマが提示される。戦争とは、平和とは、幸福とは、愛とは、家族とは、命とは、そして国家とは。私たち若者?もたまには真剣に考えてみてもいいんじゃないでしょうかね。さっそくクラスのギャルたちと話し合ってみましょう。
最後に森山未來、ナイス・パフォーマンス!!もしかして、作品として許せたのは、彼のおかげかも。
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