『ROCKIN'ON JAPAN 10月号』
ロッキング・オン・ジャパン
これは買うっきゃないでしょ。吉井和哉と藤原基央のロング・インタヴューにレミオロメンの滑走路ライヴと来りゃあねえ。なんとなく最近身近に感じているミュージシャンたちが揃いも揃ったもんです。このブログでは創刊者の橘川さん関係で時々文字になっていましたけれど、ロッキング・オン、久しぶりだなあ。もしかして10年ぶりくらい?買うのは。立ち読みはけっこうしますけれど(スンマセン)。
じっくり読んでいろいろと思うところがありましたね。まさに「ジャパン」だなあと。ロッキング・オンがジャパンを作ったの正解ですね。20年前、たしかに日本のロックが特別な色彩をもって成長しはじめた。欧米の後塵を拝していた時代は終わり、独立した存在として認知されはじめて、もう20年。日本のロックはずいぶんと大人になりました。というか、こんなことを言う自分が大人になったなあ、という感慨かな。日本の音楽けっこう馬鹿にしてたからなあ。
それにしても、ロックってなんでこんなに繊細なんでしょうね。なんでこんなに語られるんでしょう。ロックのメッセージってこんなにもめめしい。いや、悪口じゃないんですよ。私はそれが日本のロックだと思っているんで。壊れそうに繊細なんですよ。そんなやるせなさ、切なさとの対決が、ロックとなる。
間違っていないと思います。ロックは反抗の音楽なんですから。その対象が、自分の、そして世界の切なさであって悪いはずはありません。いや、どちらかというと、目をつぶったり、ごまかしたり、妥協したりしない、そういう魂がロックそのものだと思いますよ。
だから、日本のロックは文学を継ぐものだと、私はいつも言ってるんです。吉井さんと藤原くんの言葉のどこが文学でないんでしょう。実におセンチですよ。そのおセンチをあえてめめしいって言ってみたんです。ロックは男らしいっていう通念に反抗してね。
お二人のインタビューにはいろいろと共通するものがありましたが、私の心に残った言葉は「決着」です。自分の中のもやもやみたいな「モノ」に対する「決着」が「ロック」だという感じが、双方から読み取れました。ほとんどの芸術家というのはそうなんでしょうが、自分と世界との関わりの中に必ず生まれる「もやもや」した「モノ」に決着をつけないと、それこそ死にたくなっちゃう。決着つけるという行為こそが、私の言う「コト化」であると思うわけですが、それが多くの他者にとっては新たな「関わり」を生んでいくわけですね。新しい「モノ」が語られるわけです。そういう意味での「物語」という解釈もありかなって、最近思ってます。自分の中の「モノ」と格闘して、つまりモノを語って、抽象して、ある意味人に押しつけていく。芸術家の仕事ってそういうことなんじゃないかなって。モノの連鎖。それが生命っていうような気もします。
日本のロックがそういう性質でもって成長していくということですから、その担い手は自然内省的な人たちになっていきます。語弊はあるかもしれませんが、ちょっとひきこもりっぽい感覚がないとやっていけません。それを受け止める方、つまり聴衆もまたそういう性格を要求される。実際、日本のロックの聴き手は、案外暗い系が多かったりします。明るいパッパラパーは明るいパッパラパーな音楽聞いてますよ。
というわけで、私も完全に暗いひきこもり系ということを確認して、読了いたしました。さすがロッキング・オン。チェックの入らないインタヴューもまた、そういう意味でのロックになっているということでしょう。美しい物語をありがとう。再び「人形劇ギルド」を観ましょう。吉井さんのアルバムも楽しみだなあ。
Amazon ROCKIN'ON JAPAN 10月号
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