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2006.09.14

『正しく生きるとはどういうことか』 池田清彦 (新潮OH!文庫)

自分の欲望を上手に解放するための22章
020601030000 この本はですねえ、最初のうち面白くて、ガンガン進んだんですけどね、どうも後半にさしかかったあたりから全然ページが進まなくなっちゃった。どうしても読み進めない。最後の方は適当にぶっとばしました。
 でも、ぜひ皆さんに読んでもらいたいんです。これは名著でしょう。書いてあることは、たぶん全部正しい。誰も言わなかったホントのことをたくさん言っちゃってます。
 で、そのホントのことについて、あなたがどう反応するかなんですね。膝を打つか、頭を抱えるか。爽快な気分で一気に読破するか、私のようになんかわからないけど不快な気持ちになって難渋するか。
 この本の基本はこれです。これが池田センセイの「正しく生きる」ための唯一の公準です。わかりやすいし、たしかに正しい。
『人は他人の恣意性の権利を侵害しない限り、何をしても自由である。但し、恣意性の権利は能動的なものに限られる』
 それにもとづいて、世の中の(池田センセイ的)フィクションを暴いていくわけです。政治、経済、法、教育、恋愛、セックス、宗教…。
 うん、たしかにそうだ。たしかに間違ってない。その通りだ。そう思って最初はワクワクしました。よくぞ言ってくれた!ってね。
 でも、だんだん苦しくなってきた。理論的には実に整合性が高く、実際気持ちいいくらい納得できる。だけど、なんだか知らないけれど、自分の何かと矛盾しているのでしょう、だんだん不快になってくる。頭では分かっていても、どこか体の奥の方から吐き気みたいなものがわきあがってくる。しまいには怒りみたいなものまで。
 いったい何なんでしょうね。本当のことを突きつけられて、それで逆ギレしてる自分がいる。
 池田センセイが提示したことは、まさに「真理」なのかもしれない。「マコト」です。また私の得意技「モノ・コト論」で申し訳ないというか、それこそ吐き気を催す方もいらっしゃるかもしれないが、ごめんなさい。「マコト」は不変・普遍の真理です。しかし、それはワタクシによれば、この世には存在しない。この世の本質は変化・不随意の「モノ」なので。「マコト」は神の世界の話、「ミコト」だけが語っていい「コト」です。
 たぶん、この世に提示された「マコト」に、私の中の「モノ」が反応したんでしょう。私の本質が「モノ」申した。「モノゴコロ」ついてしまった人間は、「マコト」を提示されると逆ギレするんです。
 そう、失礼な言い方かもしれませんが、池田センセイは「モノゴコロ」ついてないんですよ。これはほめ言葉でもあるんですよ。「マコト」で生きられるんですから。だいたい、「虫屋」と言われる虫好きの方々はそういう魅力を持っていらっしゃる。池田センセイはもちろん、養老孟司センセイ、茂木健一郎センセイもかな、あと奥本大三郎センセイとかね。みんな魅力的です。憧れの存在です。自分にない「マコト」を持っているんで。世間ではよく「虫好きは本能で生きている」って言われるそうです。
 私はどうもフツウの人間らしい。どうにも説明できない、それは感情というものなのかもしれないけれど、何か理屈で片づけられない「モノ」が自分に巣くっていて、それに支配されている。頭では「マコト」を理解できて、脳はそこに快感すら覚えるんですけれど、どうもそれに刃向かうヤツが棲んでいるらしい。そいつが騒ぎ出す。
 私はつくづく文系の人間なんだなって思いました。理科の先生になろうとして国語の先生になってしまった私ですけど、結果、それで良かった。この本をおススメするのは、あなたが理系なのか文系なのか、それをジャッジしてくれる本だからです。あなたの中の「コト」と「モノ」の配合率を測ってくれるわけです。インディケーターはあなたの心ということですか。
 最初の方に(池田センセイ的)フィクションと書きました。私にとっては、それらこそが「リアル」であって、提示される「マコト」こそが「フィクション」に感じられたからです。
 お釈迦様は、この世の全てが「モノ」であるという唯一の「マコト」を提示しました。究極の公準です。池田センセイの公準は、やはり人間が考える「コト」であって、もしかすると、神様仏様の恣意性の権利を侵害しているのかもしれませんね。だから、私の中の「モノ」が反応した。
 ところで、こうした虫屋さんたちのような、自己の「マコト」を追究する方々は、「モノ」ワールドである人間界では、皮肉にも「モノノケ」的存在になるようです。不思議な人。もちろん魅力的な人とも言えます。池田センセイも充分に物の怪であったと、私の前にすわっている、大学時代に池田センセイの薫陶を受けた(?)理科の先生は申しておりました。はい。

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