『東京カワイイ★ウォーズ』(NHKスペシャル)
この前の『COOL JAPAN スペシャルin Paris』でも取り上げられていました渋谷系ファッション=リアル・クローズ (REAL CLOTHES)。正直、私には全然関係ないし(当たり前か)、ちょっぴり眉をひそめていたんですけど、今日のNスペを観て、がぜん興味がわいてしまいました。いやいや、それにかかわりたいとか、そんな(爆)なことは考えてませんよ。ただ文化としての…。
そう、私の独特の日本文化論に結びつけて考えながら観てたんですよ。な〜るほどねって。
前にも書きましたけれど、女の子(NHKはギャルって言ってましたけど、それって合ってますかね)たちの「カワイイ!」は、やはり男の「萌え」に対応しますね。私は「萌え=をかし」論で、「をかし」の語源が「招く(をく)」であるとしました。こちらに招き寄せて所有したいという気持ちだと。で、今日の番組中、ギャルたちが「カワイイ=着たい・買いたい・身につけたい」だって言ってたんです。これはまさに「招く」ですよ。つまり、「カワイイ=をかし」ということです。とすると、枕草子で清少納言は「超カワイイ!(いとをかし)」を連発しているってことですね。まあその通りのノリですよ、あれは。「とても趣深い」なんて言ってない。もっとポップです。
番組では、さすがNHKらしく、ちゃんと対照概念の「あはれなり」も登場させてましたよ。つまりモードです。伝統的なファッションの形態。コシノヒロコさんなんか、かなり厳しい口調で苦言を呈してました。目が怖い…。たしかにああいうのは美しい。いいなあとは思うかもしれませんが、ギャルたちは「カワイイ!」とは言いません。なぜなら、「招く」ことができない予感がするからです。だって高いんだもん。手に入れたい気持ちもないではないが、実際には手に入れられない。思い通りにならないという面においては、これはまさに「もののあはれ」であります。
で、今ファッション業界でも、「あはれ」モードが「をかし」ポップにすり寄り始めていると。かの東京コレクションが東京ガールズコレクションに学んでいる。これは全く正常なことと感じました。どのジャンルの文化にもよくあることです。日本の文化はそれで進んできた。その時々の感性にまかせつつ、それらを上手に時系に紡いでいって、そして振り返るといつのまにか一つの確固たるスタイルに仕立て上げている。それを認識した時、そこにこだわり、しがみつく人が現れる。それでいつのまにか柔軟さが失われてしまう。それをまた感性でぶち壊す人が現れる。
やっぱり「萌え・カワイイ」的、刹那的感性は女性の専売特許ですね。そして、全体像を見るのは男。つまり、「をかし」文化は女性が担ってきたんですよ。「あはれ」は男。だから、萌え〜とか言ってる男(オレも含めて)は女性化しちゃってるんですね。武士道じゃなくて貴族文化ですよ。いつも言ってる通り。
それにしても、エビちゃんすごいっすね。その刹那的感性のカリスマですわ。もえちゃんもね。ああやって、立派そうな男どもをリードし、救っていくわけですから。女性には頭が上がりませんね。男の空いばりってことか。理屈よりも感性の方が結局正しいし強いと。まあ、せいぜい男は長期的展望に立って経済活動に励む程度ですな。男が稼いで、女が使うか。
ああ、面白かった。いつもながらNHKGJ!です。ウチのクラスのギャルたちにも見せてやろうかな。田舎のギャルたち(失礼!)はどう思うだろう。
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コメント
Nスペでそんなことを・・・
見逃してしまった・・・(涙)
萌え=をかし
あはれ=モード
思いっきりうなづいたら、PCのキーボードに激しく頭をぶつけました(笑)
投稿: ふる | 2006.09.25 20:07
ふる○んさん、こんばんは。
ホント面白かったっす。
再放送もあると思いますよ。
萌え=をかし論はちょっと自信ありです。
納得してくれてどうもです。
でも、頭ぶつけさせちゃってスマソ。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2006.09.25 21:29