『Beatles Baroque』 Les Boreades(de Montreal)
キター!てか、やられたー!
先にやられちゃったあ。これですよ。私が考えていたのは。う〜ん、それもこんなに完璧にやられるとは。
古楽器によるビートルズの完全コピー!
宴会芸用に考えてたんですよ。ふう。なんか先にやられちゃったんで、もうやる気が失せました。だって、ホントに完璧なんだもん。
Les Boreadesはカナダの古楽器団体で、もちろんマジメな(?)バロックの演奏が専門です。けっこう評価高いですし、私も好きなタイプの楽団です。その彼らがこんなアルバム出してたとは。知らなんだ。
私はNMLで1枚目を聴き、2枚目は試聴しただけなんですけど、これはマジでやってる。どういう意味でマジ(本気)なのか。シャレなのか、それとも単純にビートルズへのリスペクトなのか…。どっちにしろ、このマジっぷりに感動です。
つまりですねえ、完コピなんですよ。各パート、もちろん楽器の割振りは原曲とは違うのは当たり前ですけど、それぞれの旋律は、私が聴く限り完全に原曲どおりです。フェイド・アウトもちゃんとしちゃうし。確かめてませんが、演奏時間もほとんど完璧に原曲どおりでしょう。
ヴォーカル・パートはリコーダー、バロック・ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、バロック・オーボエなどが担当しておりますが、その唄いっぷり、たとえば微妙なヴィブラートとか、音程のズレなんかも、笑っちゃうほど忠実に再現してます。すごいっす。
繰り返しますが、これは私のアイデアです!ネタです!…ガックリ…orz。
つまりこういうことなんですよ。まず、ビートルズは完コピじゃないとダメなんです。神だから。それはこちらにもちょっと書きました。あと、ビートルズとクラシックとか、バッハとか、バロックとかを結びつけたアルバムも、ほとんど全部聴いてきましたし、自分も編曲をして演奏会で弾いたこともあります。でも、それら全部、正直言うと全然よくなかったんですよ。なぜなら、編曲がわざとバッハ風であったり、ヘンデル風であったり、ヴィヴァルディ風であったり、とにかく結果としてとっても痛いことになっていたわけです。だから、自分としては原曲通りというのをいつかやってみたかった。
そして、なぜ古楽器なのか。その答えはこのアルバムをお聴きになればわかります。これをモダン楽器でモダンの語法で演奏したら、ぜったいに痛いことになります。たとえ同じアレンジでもね。これはオリジナル楽器とその演奏法の根幹にかかわる部分でして、特に演奏家の方には理解していただけることであると思います。
それにしても、こんなにしっくり来るとは思わなかったなあ。チェンバロがドラム代わりになるとはねえ。あのアタック感がいいんでしょうね。通奏低音ってやっぱりリズム隊なんだ。そして、ポールの書いた通奏低音パートの豊かなこと。バッハみたいですよ、マジで。
選曲がまた憎いですね。 どれもいいんですけど、やっぱりフール・オン・ザ・ヒルが笑えましたね。あのフルートはもちろんトラヴェルソ、ポールの吹く味のあるリコーダーはもちろんリコーダーで忠実再現(ちょっとひねってあるかな)。ヴォーカル役のガンバもテクニック駆使しまくりで面白い。まあ、よくやりますわ。
こうして聴いてみると、何度も言っているように、ビートルズがいかに西洋音楽の伝統にのっとりながら、それを驚異的に拡張したかがわかります。これは冗談でなく、バッハやベートーヴェンと同レベルの業績であります。やっぱりLes Boreadesの皆さんは、大まじめに敬意を表しているんでしょうね。そんな気がしてきます。
長くなりましたが、最後にオマケ。この前、NHKの「ハイビジョンクラシック館 オール・ザット・オーケストラ」でELOをやりました。東京フィルの皆さんがまじめにELOとそれにまつわるクラシックの曲を演奏しておりました。けっこう素直な編曲がなされておりましたが、はっきり申しましてかなり「痛い」ことになってました。その理由は、この『Beatles Baroque』の裏返しということですね。こうなったらELOを古楽器で完コピしちゃおうかなあ。いや、とりあえずクイーンのボヘミアン・ラプソディーやろうかな、宴会で。誰かいっしょにやりませんか?
Amazon Beatles Baroque Beatles Baroque 2
Les Boreades公式(ちょっと試聴できます)
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