『足るを知る』〜「ガイアの夜明け」を観て
ガイアの夜明け「検証!“ハゲタカ”の正体 〜外資ファンドは日本を救ったか〜」を観ました。テレ東の日経スペシャル「ガイアの夜明け」闘い続ける人たちの物語。プロジェクトXが終了した今では、我々世間知らずな先生たちが、一般企業の大変さを知るためのほとんど唯一の番組です。
私も気付いた時は観るようにしています。直接私の仕事に役立つこともありますけれども、それ以上にすっかり学校モードになっている脳ミソに刺激を与えるという意味で実に有用です。学校と言っても、ウチは私学ですので、多少は企業的な戦略も必要ですからね。特に来年度に向けてはいろいろやらねばならない事情がありまして。実は今日もそうだったんですけど、それがなかなかねえ、うまくいかないんですよ。めずらしくストレスためました。
まあ、そんな愚痴はいいや。今日のガイアは「ハゲタカ」についてでした。外資ですね。企業再生のプロ「リップルウッド」は単に利益追求のハゲタカなのか、それとも救世主なのか。
最初は私もどっちなのかなあ、どっちとも取れるよなあ、なんて考えながら観てたんですね。ところが、途中からなんとなくアホらしくなってきちゃった。
それこそ野暮なこと言っちゃいます。企業って結局新しい需要を創造することが目的ですよね。需要があるから収入があるわけでして、それはまあ当然なことです。でも考えてみれば、全ての需要が「必要」であるかどうかは別問題ですよね。顧客、ユーザーのためと言っても、それが本来不必要なものだったら、どうなんでしょう。
「足るを知る」…これも仏教の基本的な教えですが、最近この言葉の重みを痛感するんですね。でも、自分も現状に満足できない。そういう自分自身の矛盾や、また現代の経済や社会のシステムの矛盾、また自分が担当している仕事との矛盾、そういったものに悩むんです。正直辛い。
稲盛和夫さんは「足るを知る」ことと経済とは矛盾しない、とおっしゃっています。私たちの欲や楽しみのベクトルの向きを変えれば、その両立は可能だと。たしかにそうかもしれない。で、自分には何ができるのか。自分自身に対しても、そして教師としても、親としても。
やっぱり、「足るを知る」精神と、「布施」の精神を柱とした、「仏教経済学」かなあ。第三の経済システムというのを考えなきゃ。本来の「経世済民」に立ち返るってことでしょうか。
今日はちょっと愚痴っぽくなってしまいまして、すみませんでした。まあ、楽天的な私にもこんなふうに悩む日もあるってことで。たぶん、秋田での体験が影響してると思います。では。
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コメント
秋田からお帰りなさい。お疲れさまでした。
今日の記事、世間知らずの音楽家としても色々考えながら、
読みました。私も開拓民として新天地に乗り込んだわけで、
ホントにまず食べるために需要喚起のところから始めないと
いけないところがしんどいですね。チェンバロや古楽なんて
今まで常時なくて、このままなくてもいいのかもしれない、
な〜んて思うと、どよ〜んと↓なりますから…。
でも、今日も「クローズアップ現代」でも高齢者向けの
コンビニの戦略を取り上げてたんですが、やっぱり商売商売
ってのが鼻に突くんですよね。
奉仕じゃ成り立たないだろうけど、もうちょっとゆる〜い商売
ってありえないのかなあ。ま、こんなこと青臭いこと言ってるんで
ビンボーなままなんでしょうけど。
こっちも愚痴になっちゃってすみません。「足るを知る」って
尊い言葉ですよね。聖書にも貪るなというのがありますが、
◯リエモンとかMファンドのことがあっても、日本てホントに
お金好きなんだなあと思っちゃいます。仏教経済、応援しますよ。
投稿: よこよこ | 2006.07.20 23:52
よこよこさん、どうもです。
みちのくはやはりみちのくでした。
なんかいろいろと考えさせられちゃいました。
音楽は必要な需要だと思いますよ。
使い捨てじゃないですから。
羊頭狗肉の宣伝合戦で人をだますのがいけないんです。
だまされるほどアホで豊かな日本人ってことですかね。
芸術家にも金の権化みたいなヤツいますからねえ。
こまったもんです。
やっぱりこちらができることをまずは提供して、
それに対して布施をいただく、というのがいいような気がします。
でも、貧すれば鈍する、とも言いますしねえ。
難しいですね。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2006.07.21 06:54