『おりがみどうぶつえん』他 笠原邦彦(有紀書房)
おりがみどうぶつえん おりがみせかいのとり
おりがみびっくりばこ おりがみにっきちょう
この前マイメロのところで「目指せ笠原邦彦!」と書きました。マイメロ見て笠原邦彦を思い出す人もそうそういないと思いますけど、まあ私にとっては折り紙と言えば、笠原邦彦さんなんです。
折り紙の世界では伝説の人、ほとんど神の領域の人です。世界中のオリガミストの中で、彼の影響を受けていない人はいないでしょう。私もかなり影響を受けました。と言っても、今から35年くらい前(と書いて愕然とする自分…)の話です。
幼稚園時代に折り紙にはまった私は、小学生になってもしばらくは毎日折り紙を折っていました。しばらくは、というのは、当時折り紙がブームであったとはいえ、さすがに男の子としての社会的プライドのようなものが生まれてくると、なんとなく恥ずかしい、やりたいけどやれない、という状況にならざるをえないわけです。それで、その後は思い出した時に笠原さんの本を引っ張り出してきて、なんとなく折ってみるという程度になってしまいました。ファミレスやハンバーガーショップに行った時に、敷き紙やペーパーナプキンで作るとかね。
しかしよく考えてみると、この折り紙というのは、世界に誇る日本文化であり、数学の世界でも注目されるような、高度な遊びなんですよね。私も幼い頃折り紙をすることによって、集中力や手先の器用さ、空間認知能力や記号解読力などを養ったと思います。
で、小学校1年生の時に買ってもらったのが、この伝説のシリーズです。当然絶版。なかなか手に入らないレア物になってしまいました。これはすごいですねえ。子ども用の本とは思えないほど高度でリアルな折り方満載です。笠原さん、当時はまだまだお若かったと思いますけど、古典をふまえた上での創作折り紙は圧巻、素晴らしいの一言に尽きます。
その後の折り紙界は、多少コンプレックス(複雑系)に走りすぎた感があります。その点、このころの笠原さんの創作折り紙は、適度に難しく、適度にわかりやすい、私にとっては理想的な姿ですね。それにしても、小学1年生でこれらを全部折っていた私も、かなりなマニアでしたねえ。ちょっとヤバイなあ。今、娘がちょうど1年生ですけど、とても折れませんし、折る気も起きないようです。
というわけで、久々に大好きだった「象」を折ってみました。もちろん一度もハサミを入れないで作り上げるものです。折り紙がなかったので、適当な紙を切って作りました。なんか35年前の方が上手だった気がするなあ。だめだ。それにしてもすごいなあ。牙とかねえ。どうやって設計するんだろう。完成形をイメージして逆算していくのかなあ。フーガを作るみたいなものかな。折り図に従って折っているこちらの集中の具合も、なんとなく「禅」してるし、やっぱりこの世界って深い精神性を感じさせますね。
ところで、ひどいんですよ〜。ようやく完成したと思って、テープルに載せて写真を撮ったら、いきなり象がやられました。そう、ウチの黒猫くんが、何を勘違いしたか、象さんに強烈なネコパンチ一閃。象、吹っ飛びました。猫にはその精神性が理解できないようです。トホホ…。
にぁ〜
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コメント
私も小学生の時(三十年以上前)に「おりがみせかいのとり」が家にありました。兄貴が買ってきたような気がしますが、当時はそんな意識はあまりなく、友達が「せかいのどうぶつえん」を持っていたんで交換しちゃいました。(兄貴に無断で…)。お陰で今でも「象」は本を見なくても折れる…ハズです。それが、何年か前、兄貴がおりがみの本を持っていたことを覚えていたようで、「おりがみの本なかったっけ?」って私に聞いてきました。とりあえず、シレ~っと、この本でしょって「おりがみどうぶつえん」を差し出したら、「この本だっけ?」ってつっこまれした。ヤベ~この本じゃないことを覚えていたのか…。とりあえず、友達と交換しちゃったことを伝えました。釈然としない風だったけど、それ以上は言ってきませんでした。今となっては言っても仕方にないだろうしね。ただ、今から思うと何か確認したい折り紙があったのかも…。実は私も心残りがあるのです。「おりがみせかいのとり」の中で一番好きだった「鷹」の折り方を当時は覚えていたのですが、今では忘れてしまって折れない状態なのです。思い出そうと何度かトライはしたのですが、やはりダメでした。この点が実に心残りで…。
投稿: satt | 2008.11.03 02:58
sattさん、コメントありがとうございました。
思い出を共有できて嬉しいですね。
「鷹」ですが、もし必要であれば折り図を複写してさしあげますが、いかがでしょうか。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2008.11.05 10:27