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2006.07.10

『爆笑問題×東大「東大の教養」決定版』(NHK教育)

Er5 うん、これは面白かった!土曜日に放送されたものの録画を観ました。
 爆笑問題の二人が東大に乗り込んで、「東大の教養」にダメ出しする番組でした。東大の学長や教授や学生に対して、「バカ」って言えるのは、まあ太田か北野武くらいでしょうねえ。
 結論から言ってしまうと、爆笑問題も立派な教養人だったということで、とっても皮肉なことになってましたが、それでも、教養のあり方にはいろいろあって、東大型の教養は「オタク」チックであるというのはよくわかりましたよ。
 「教養」についての私の意見は、このブログでも何度も表明してきました…と書いて、えっと〜どういう意見だっけ。検索してみよっと(右の検索窓でどうぞ)。ああ、なるほど、「教養」という言葉は死んだけど、実はその本質は大衆のものになっている…ってことかな。わかりにくい文章だな。
 まあ、とにかく、昔ながらの「教養」をひきずり、またその威厳低下を憂えて、その復権を図っているのが東大で、そんな言葉にしがみついてるんじゃなくて、新しい「知識」と「智恵」のあり方を模索しているのが爆笑問題であると。そういうことはよくわかりましたよ、この討論番組で。
 90分間、ほとんどしゃべっていたのは太田です。東大の小林康夫先生はじめとする「知」の代表選手たちはタジタジ。学生もいつもの授業とは違う?集中力で耳を傾ける。田中はただ立っているだけ。太田って、よく考えてるなあ。本当の学問してる人ですね。私はとても彼のような力はありませんが、彼に共感する部分は多いんですよね。
 彼って高校時代、自分の殻に閉じこもってたんでしょ。私の高校時代とおんなじですよ。彼の昔を知っている人が今の彼を見て驚くように、きっと私の高校の同級生もかなりビックリでしょう。ただ、この番組でも言ってましたけど、そういう時期があったからこそ今の彼の「智恵」があるんだと。それは実によくわかります。私も生徒たちに、楽しいだけじゃない、苦悩の日々を送ってほしいんですけどね。それができない時代のようです。残念。
 ひきこもりだって考えようによっては大切かもしれませんね。若い時に自分にダメ出しして苦悩して、それでいろいろ哲学的になったりして、結局爆発というか爆縮というか、ホワイトホールでもブラックホールでもどっちでもいいんですが、とにかく壁や殻を突き破って、あっちの世界に行ったり、こっちの世界に戻ってきたりしないと、「智恵」はつかないと思うんですよ。なんでもハッピー、ラッキー、みんなでワイワイでは、実は何も生まれません。胎児だってお腹ん中でひきこもって、それでポンって生まれてくるんでしょ。
Dfg112_1 さてさて、ホントいろいろ考えさせられる太田発言があったんですけど、いちいちここには書けません。でも、彼の基本路線は、まず自分で考えて、それをなるべく多数の人に投げ掛けて、どう返ってくるか、そしてどれだけ実用的で人のため、自分のためになるか、ってことですね。賛成します。東大の「知」のように、「真のエリート」じゃあね。学長さんも「エリート」を目指せみたいなこと言ってましたけど、それじゃダメなんですよ。太田が言うように、大衆のレベルでものを言わないと。そうしないと単なる自己満足、たちの悪いオタク、象牙の塔の住人で終わっちゃう。和光同塵で行かなきゃ、偉い人は。
 でも、こうした企画をすること自体、東大の「知」や「教養」がピンチだということでしょうし、逆に言えば、そうした危機をこうした企画で乗り越えていこうという、まあ多少の柔軟性は感じられました。でも、結局は「教養人」を呼んでしまったとも言えますけど。

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