『子供たちの心が見えない…教師、17年目の苦悩』 NNNドキュメント06
昨日の深夜というか、今日の未明に放映されたこのドキュメント。私は録画したものを朝4時から2回観てしまいました。あまりにも重かったので、6時に起きてきたカミさんにも見せてしまったのでした。朝っぱらからこれを2回観たら、そりゃ頭も痛くなるでしょう。ましてやブルー・マンデーです。
簡単に言えば、学級崩壊状態の小学校のある教室の1年間を追った内容でした。拡大版55分枠。先生や生徒や親に、いっさいモザイクなどかからない、非常にリアルなもので、ふだん教育現場にいる私には、ちょっと直視に堪えられないほど衝撃的でした。
6年生。先生の言うことも聞かない。整列もできない。「死ね」「うざい」「むかつく」「キモい」「ブス」…担任のT先生には、そういった言葉が無造作に投げつけられます。親も非協力的。T先生は、もがけばもがくほど、自分を追い込んでしまいます。実は、T先生の前には、教師歴20年の先生がこのクラスをまとめきれず、学校を休むはめになっていたのでした。
特に女子の集団との確執。これは正直修復困難な状況だと見ました。こりゃあ大変だ、というよりも、自分の過去の記憶がよみがえってきて、本当に辛かった。
私なんか、誰が見てもお気楽教師ですよねえ。たしかに今は毎日楽しいばかりです。しかし、私も若い頃、全く同じような状況を経験してきました。当時はやはり、そういうのは高校生だったんですよ。その後中学生が、そして今は小学生だと。そういうことでしょう。若年化ですね。
私も当時、全くT先生と同じ状況でした。親も集団で乗り込んできたりして。それはもう毎日片頭痛との闘い。登校拒否寸前ですよ。
現場を知らない人は、そんなに甘やかすな!とか、もっと話を聞いてやれ!とか、いろいろ言えますよね。事態はそんなに単純ではありません。語弊があることを承知で本当のことを言うとですねえ、教師業の中で最も注意すべきは、女子の集団です。ああ、言っちゃった(笑)。
で、今はほとんどそういう問題は起きなくなった。それは、その時の経験が自分にいろいろなことを教えてくれたからです。そういう意味では、本当にあいつらには感謝しています。また、これは本当に面白いことですけれど、そういう奴らこそ、5年後、10年後なついてくるんですよ。優等生とは疎遠になってますが、彼女たちは今でもよく遊びにくるし。不思議なものですね。
どのようなことを学んだのか、そしてどうすればよいのか、私はそれなりに言葉にすることもできますけれど、それは企業秘密(?)なのでここには書きません。ここに書くべきことではありませんしね。ただ、それはテクニックとか、演技とかではなく、単純にこちらの心の持ち方の問題です。それに気づくのにずいぶんと苦労をした。でも、若い時にそれを学ぶことができて、本当に良かったと思っています。
T先生の状況は、ある意味、まだいい方かもしれません。もっと大変な状況もあるでしょう。また、私自身、いつそういう状況に置かれてもおかしくありません。もちろん、そういう覚悟で毎日を過ごしています。T先生のようなまじめな先生ほど、自分がなんとかしなくちゃと思う。自分の理想の生徒像がある。そして、理想の先生像もある。
でも、一つ言えることは、生徒たちの人生において、私のような一人の教師が与える影響などそれほど大きくないということです。いい意味でも悪い意味でも。彼ら彼女ら、卒業後の何十年かの間に、いろいろなタイミングで、いろいろな人に、いろいろなことを教えてもらうんでしょう。ここで教えておかなくちゃってことは、実はそんなにないんです。学びたいやつは勝手に私から学ぶでしょう。その逆もあり。自分の役割はそれほど重大ではないのかもしれません。
あと、これは学校に限らず、人間関係全てにあてはまることでしょうが、私がいつも頭に置いているのは、「人間関係は鏡」、「待つのが仕事」、「困ったら人任せ」です。まあ、そんな程度の教師だということですよ。カミングアウトしちゃいます。それと、教師も一般企業なみにクライアントのニーズを知り、それに対応すべきだと思いますよ。あまりに保守的では、そりゃあ子どもたちとの溝はひろがります。親御さんとの関係も、結局「=生徒との関係」ですからね、話はいっしょです。
というわけで、今朝はホントにブルーでしたが、ウチの(ある意味)崩壊女子軍団に会ったら、なんか安心して元気が出ました。あんがとな。
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