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2006.06.18

ステファン・グラッペリ他 『バック・トゥ・ザ・ビートルズ』

Elena Duran Stphane Grappelli Laurie Holloway 『Bach to the Beatles』
B0000030xv01_scmzzzzzzz_ このアルバムはいろいろな意味でかなり珍しい。バックとはバッハ(Bach)のことです。英語ではよくやるシャレですね。
 昨日、一昨日と美空ひばりをおススメしましたけれど、彼女と同じレベルのヴァイオリニストと言ったら、もうグラッペリ翁しかいないでしょう。ジャンルを越えて突出した存在です。ヴォーカル担当のカミさんがひばりにため息をつくのと同じ次元で、私も翁の全てにため息をつかざるをえません。
 そんなグラッペリの90年に及ぶ音楽生活、そして演奏活動の中でも、このアルバムはある種異彩を放っていると言えましょう。もともとは2枚のアルバムであったのを1枚にまとめたものなんですね。80年に録音された「BRANDENBURG BOOGIE」(!)というバッハを演奏したアルバムと、翌年に録音された「NORWEGIAN WOOD」というビートルズを演奏したアルバム。いずれもGrappelli- Violin、Elena Duran - Flute、Laurie Holloway - Piano、Allen Wally - Bass、Allan Ganley - Drumsというメンバーです。これらを一枚にまとめちゃったと。
 まずは、このまとめちゃった行為をどう評価するかが問題です。バッハやビートルズをジャズアレンジするというのは、ごく普通の行為であるわけですが、それを交互に並べるというのは…。まあ、そのまとめちゃった行為の結果を、まずはご覧下さい。
1. All My Loving
2. Jesu, Joy of Man's Desiring [From Cantata No.147]
3. Hard Day's Night
4. Groovy Gavotte II [From French Suite No. 5]
5. Long and Winding Road
6. Air on a G String [From Suite No.3]
7. Can't Buy Me Love
8. Minuet [From Anna Magdalene's Notebook]
9. Yesterday
10. Aria [Cantata No. 30]
11. Hey Jude
12. D Minor Double [Concerto for Two Violins]
13. Michelle
14. Jig [From Trio Sonata No. 1]
15. Norwegian Wood (This Bird Has Flown)
16. Sleepers Awake from Cantata No. 140
17. Eleanor Rigby
18. Sicilienne from Flute Sonata No. 2
19. Here, There and Everywhere
20. Brandenburg Boogie [From Brandenburg Concerto No.2]
 どうですか?私なんかバッハとビートルズ両方とも同じくらい好きですし、それらをこれまた大好きなグラッペリがどう料理しているか非常に興味があるわけでして、まあ無理なく、いやある意味飽きることなく聴くことができましたよ。
 ですが、演奏の感想としてはですねえ…正直微妙でありました。ワールドカップの日本代表におけるまとまりのなさみたいな、なんというかおさまりの悪さみたいなものを感じてしまいましたね。バッハ、ビートルズ、グラッペリ、ホロウェイ、デュラン…。それぞれ名選手なんですけどね、どうも無理やりチームを作った感が強い。いちおう監督はホロウェイなんですけど、彼の編曲がまた微妙でして…。いやいやなかなか上手ですよ、上手なんですが選手が生かされてないんですね。グラッペリにとっては本来の彼の言葉であるインプロヴィゼーションが規制されているし、クラシック畑のデュランに至っては、ジャズの言語を全く使いこなせていませんし。それらが全然うまく絡み合ってないのは当然です。監督さんも大変だなあ(ジーコさん、ちょっと同情します)。
 しかし、ある意味、奏者の個性が希薄になっているがために、逆説的に楽曲の…特にオリジナルのバッハやビートルズの…良さが際立って聞こえてくるとも言えます。まあ皮肉なことですがね。とりあえず、2大Bが交互に現れてもそれほど不自然ではありませんでした。私にとってはね。
 こんな感じで、なかなか不思議な仕上がりになっているこのアルバムです。さりげなくBGMとして使うには、けっこういいかもしれません。そういう意味でも、あるいはグラッペリの特殊なキャリアとしても、聴いて損はないアルバムと言えないこともないでしょう(なんか回りくどいおススメですねえ)。
 あっそうそう、「BRANDENBURG BOOGIE」はアビー・ロード・スタジオでレコーディングされたようです。そこで、次はビートルズやってみようか、ってことになったんじゃないのかな。グラッペリ、けっこうビートルズ好きだったみたいだし。

Amazon Bach to the Beatles

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