藤原正彦氏講演会
今日、当地で藤原正彦さんの講演が行なわれました。私は仕事で行けませんでしたので、カミさんを刺客として送り込みました。彼女、私の「密かに録音すべし」という指令を受け、これを持って出かけました。そして、しっかり使命を全うして帰ってきたんですが、とにかく興奮してるんですよ。面白すぎたって。笑いをこらえるのに必死だったと。
なに〜?やっぱり超笑えたのか!う〜む、早く聴きたい。ということで早速聴いてみました。
うん、たしかに面白い。めちゃくちゃだ。私が「この国のけじめ」について書いたことに間違いはありませんでした。やっぱり「国家の品格」も、ひたすら首肯したり、あるいは真剣に反駁したりする性質のものではないんですよ。ユーモアなんです。ギャグなんです。そして真理なんです。
カミさんがうまいこと言いました。「バカ田大学の先生みたい!」…なるほど〜その通りだ。見た目も含めて。
いや、決して馬鹿にしているではありません。私の最も好きなタイプの天才なんですよ。はっきり言っちゃうと、もう凡人の単純なデジタル思考をはるかに超えてしまっていて、つまり自己矛盾とかそういうことに頓着ないんですよ。そんなみみっちいスケールじゃないんです。
たしかに言ってること、めちゃくちゃです。矛盾だらけ、一般論的にはね。右も否定、左も否定。市場経済もだめ、共産主義もだめ。弱者を助けよ、しかし甘やかしはいけない。結局「ワシが一番偉いのだ!」って感じ。だから非常に面白いし、それでいいと思うんです。唯一の真理なんてない。あるのは論理的なものではなくて、その人固有の感覚と信念じゃないでしょうか。唯一の真理なんてものを求めるからケンカになるんでしょう。
この前も「天才は全てお見通し」ということを書きましたが、そういうことなんです。天才がホントのことを語ると、どうしても凡人の、それこそせせこましい論理からは大きく外れる結果になる。だから、それがとんでもない矛盾に見えることもある。そこに真顔で食いつく犬のようなレベルの人もいるし、自分の目の前にあるちょっとした瑕疵を指摘して悦に入る小人もいる。
日本の虫や葉っぱには品格がある、欧米にはろくな虫も葉っぱもない…ホントめちゃくちゃですけれど、感覚としてそれは正しいと思います。それが誇りというものでしょう。
そういうめちゃくゃな混在の美意識こそが、たしかに日本人の特徴であります。だからいい国なんですよ。単なる正誤や勝ち負けみたいなものでは割り切れないのがこの世であるはずです。変化するのが当たり前ですし。それを無理やりなんとか論理で片づけて普遍化・不変化しようとしたのが西洋なんでしょう。私固有の感覚と信念で言うところの「モノ」と「コト」ですよ。藤原さんも語ってましたが、日本は「もののあはれ」なんです。
「この国のけじめ」のところに列挙しました天才たちの語り。私はそういったモノを大いに笑いながら、しかしそこに真理を見出していきたいと思っています。そんなことを再確認させられた講演会でありました。藤原さんGJ!!
ああそうそう、やっぱり講演の出だしはですねえ、著書と同様、武士道を標榜する藤原さんが奥さんに蹂躙されてました(笑)。ホント愛すべき天才ですね。
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コメント
全然知りませんでした。いつ何処でやってたんですか?録音聞きたいです。
最近 花代の佐々木教授の公園聞いてきました。タイトルはズバリ「①進化論と仏教」「②数学と仏陀の悟り」です。萌えました。ラマヌジャンも出演します。③は明日開講「科学と宗教」です。
投稿: 散人 | 2006.06.16 18:05
住職さま、おはようございます。
接心明けです。
講演会てっきり参加されてると思ってました。
リゾートであったんです。午後2時ごろから。
なんかあんまり宣伝してませんでしたね。
私も前日にあるルートから聞きました。
それでも500人くらい集まったようです。
MP3ファイルですので、メールに添付して送ってみますね。
ちょっと聞きにくいですけど。
佐々木先生のも萌えですねえ。
いいなあ。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2006.06.17 08:55