『「神の子」—父が語る山本“KID”徳郁の半生』 山本郁榮 (マキノ出版)
去年の大晦日から、すっかり山本郁榮さんのファンなんです。それまでも、山本一家のすごさは知っていましたし、そういう意味で尊敬すべき存在ではありました。しかし、あの夜の郁榮さんの喜びようと投げられっぷりに、私は完全にKOされちゃったんですよ。なんか、より身近な神、そう、どちらかというと日本古来の「神」のあり方に近い、そんな崇拝と親近感ていうのかなあ、とにかくもうホントに好きになってしまいました。この感情はなんなんでしょう(笑)。
KIDは自らを「神の子」と言いました。まさに言いえて妙。だって郁榮さん神だもん。ふつう自らを「神の子」とは言えません。そんなこと言うのはイエスくらいのものです(笑)。そしてそれを受けて父なる神が本を書いちゃった。「神の子」—父が語る山本“KID”徳郁の半生…ってことは、自ら神であることをカミングアウトしたってことですよね。素晴らしいっす。いいなあ。
というわけで、神自ら書き下ろしたこの書を拝読いたしまして、ますます神の、そして神の子たちのファンになってしまいました。素晴らしい家族ですね。そして素晴らしい父親ですね。
飾らぬ非常に素直な文章ですが、神の神の子たちへの無償の愛が溢れておりました。まあ、世の親たちと同様に単なる子煩悩であるとも言えるかもしれませんが、やはり神が、たとえば私と違うのはどういうところかと申しますと、それは「一貫性」ではなかろうかと思われます。
自ら五輪選手としてその世界を究めたからできるのでしょうね。努力して継続することの大切さ、辛さ、しかしその結果がもたらす至上の喜び、充実感、そういったものを体験されているからこそ、「一貫性」をもって子どもたちに接することができるのだと思います。
それに比べますと、人の子である自分はなんと情けないのか。仕事の上でも子育ての上でも、実に場当たり的かつ気まぐれ。それはやはり自分に究めた(極めた)ものがないということでしょう…orz。
そうか、ある種の「一貫性」こそが「神」の属性なのかもしれませんね。また、私の得意な物言いになりますが、完全固定した「コト」を本当になすのが「ミコト」であり「マコト」であるというわけです。そういう意味でも、やはり山本郁榮の命でありますなあ。
「神の子」の育て方ある意味その育児論、教育論は、実にフツーであります。目新しいことは何もありません。しかし、それを一貫して実行することは難しい。繰り返しになりますが、親や教師自らが何かに対して一貫性を持っていなければ、人にもそれを施せないということですね。当たり前といえば当たり前ですが。
あっという間に読めてしまう本ですが、実にじんわりと心に残るものがありました。聖書ですな、こりゃ。
それにしても、美憂さん、聖子さん、徳郁さん、みんな偉いですねえ。お父さんもですが、神の子たちもみんな尊敬に値しますよ。そして魅力的です。
そして、なんと言っても、母なる神、1999年に本当に天の召されてしまったお母さん憲子さんの存在ですね。憲子さんについてはほんの少しの記述しかありませんが、私にとってはその部分が最も心に響きました。こちらにも少し書きましたが、母親の、女性の、そして両親というタッグのあり方が、この本の行間に示されてると感じました。
この本を読み終わって、すっかり感化された私は、早速娘とレスリングをしました(笑)。だから、一貫性がないんだって(笑)!!
追伸 KIDがヴァイオリン弾いてる写真にびっくり!そしてなんとなく納得。
Amazon 「神の子」
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コメント
本日のK-1Dynamiteの放送で魔裟斗戦のVTRをやっていましたが、それを見て、80歳の母がファンになってしまったようです。カッコいいらしい。眠いにもかかわらず、ハンガリーのグレコのメダリストとの対戦までがんばって起きていました。でも、これは少々、不完全燃焼でしたね。
投稿: 貧乏伯爵 | 2006.12.31 21:39
貧乏伯爵さん、あけましておめでとうございます。
昨日は全体にしょっぱい試合が多かったですねえ。
KIDはいい選手ですね。
お母様もなかなか見る目がおありで。
美憂さん、聖子さんかわいいしw
北京五輪に期待しましょう。
昨日も「神」が映ってましたね。
あの3人を生んだんだからやっぱり神と言っていいかもしれませんね。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.01.01 19:47