オニさんが見た「エルサレム」
先日紹介した『ユダの福音書』がとっても面白かったので、もっと面白くならないかなあ、というミーハー的な発想で、『霊界物語』を調べてみました。出口王仁三郎がユダについて何て書いてるのかなって。
そうしたら、とっても鋭い記述があったんで、ここに引用しておきます。ユダ自身のことや、福音書のことはそれほど深く述べられていませんけれど、読み方によってはなかなか示唆に富む、オニさんらしいお言葉が並んでいます。
ちなみに王仁三郎自身はエルサレムに行ったことはなく、いつものように霊界旅行をしつつ口述したようです。それが実際の地理や風景にピッタリだというから恐ろしいですね。まあ、彼にとってはそんなの当たり前なんですけど。
とにかく、キリスト教のみならず、多くの宗教が陥る危険をストレートに語っています。すごい。以下抜粋引用。ブラバーサは宣伝使。マリヤはいわゆるマグダラのマリア。
キリスト教の偶像をもつて飾られたる聖地エルサレムは、異教徒の場合よりも勝つてブラバーサの心を痛めしめたのは、後世の僧侶輩が聖書に録されたる一々の場所や由緒なぞを捏造して、巡礼者の財布をねらつてゐることである。ちよつと見ると単純なる信仰の発露だらうと、神直日大直日に見直し聞直し宣直すことも吾々にとつては出来得ないこともないが、一般の信仰なき民衆やデモ基督教徒の眼には、却つて不快に感ずるものたることを恐れたのである。また後世の僧侶や信者がその内部的知識に空なるがため、外部に徴を求めむとしてゐることの嘆ずべき一つの証拠ではあるまいか。アヽ後世まで唯一の遺宝たる福音書の中に彼れ自身の姿を認め、それから霊泉を汲み得ることの出来ない信徒らの心の淋しさより、かやうな偶像を作り出して、せめてもの慰安の料にしてゐるのではあるまいか、なぞと又もや心の内にて長大嘆息をしてゐる。
『聖師様、沢山の偶像的事物を御覧になつて非常に嘆息されてゐるやうでございますが、いつの世にも聖キリスト様は正しくは信仰され、また理解されなかつたやうでございます。キリスト様が迫害されなさつた当時と、今日とを問はず、世間から誤解されてをられます。そして普く世界から崇敬され玉ふやうになつた後の世は、真のキリスト様ではなくて、人間が勝手にキリスト様に似せて作つた偶像を崇め、キリスト教そのものを信ずる代りに、それから流れ出づる美しい果実のみをそれと誤認してしまひ、つひにキリスト教は肝心の精神を失ひ、神の国の教である代りに、それは良き意味においてではありますが、地上の幸福をもたらす手段と堕落してしまつたのでございます。それゆゑ妾もこの聖地が偶像のみにて充たされ飾られ、真のキリスト様を認識し得ないことの矛盾を悲しむのでございます』
と悔やみながら、マリヤはなほも市中を歩み続ける。
(大正十二年七月十一日、旧五月二十八日、加藤明子録)
ゲツセマネの園は三方が道で囲まれ不規則な四角形を為し、厚い石壁をもつて囲らされてゐて、フランチエスカンの所有になつてゐる。ここを新約のゲツセマネと定めたのは四世紀以前のことだといふ。門の外には自然の岩の頭が地上に現はれてゐて、その上でペテロ、ヤコブおよびヨハネが眠つたのだと伝へられてゐる。園内には非常に古い数本の橄欖の老樹が植わつてゐて、その時からの物だといわれてゐる。橄欖樹は人間が触れさへしなければ幹が枯れた後でも、その根から新しい芽生が出てかくして世紀から世紀へと生き延びるといふことであるから、この伝説はあるひは事実に近いものかも知れない。その他ユダがキリストに接吻した地点まで明示されてゐる。エルサレムや橄欖山の地位からしてゲツセマネの園がこの辺りに在つたことは事実らしい。しかし七十歩四方ばかりの狭い土地を重くるしい石垣で囲んでその中を墓地のやうに、また近代的の庭園のやうに飾つて、これをゲツセマネの園となすことは、無限の大きさと深さを持つたものを、無残にも限りあるものの中に閉ぢ込めておくことは実に残念である。ブラバーサは凡ての在来の法則を破つて霊のみで画かれたやうなロンドンのナシヨナル・ガラリーにあるエル・グレコの筆を思ひ浮かべて、この物足りない感じを補つてゐた。
(大正十二年七月十一日、旧五月二十八日、加藤明子録)
以下、再び私のお言葉(笑)。どうですか?面白いですよね。これはキリスト教を責めているのではありません。彼の思想は常に「万教同根」です。宗教界全体についての嘆息でしょう。
後半の部分にはユダも登場しますが、どうもユダの接吻自体、事実としてとらえていない書きぶりですね。ユダの裏切りはなかった?ということは、前半の「唯一の遺宝たる福音書」って、もしかして…
なんていう自由な読み(暴走)が可能であり、またそれを許すのが、霊界物語の、そして出口王仁三郎の楽しさであります。これは学問とは違う楽しさですよ。私は好きですね、こういうの。
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