レミオロメン 『HORIZON』
う〜む。妙な親心が湧いてきてしまった。
今日はカミさん朝から大変だった。なにしろ、待ちに待ったレミオロメンの3枚目のアルバムが届くのだ。そりゃあそうでしょう。ドキドキわくわくです。
と思ったら、さあ大変。朝からそれこそ大変なニュースが!藤巻くんに妻子が。前田くんも既婚…。
別にいいじゃんねえ。息子に彼女がいても全然構わない…と思うのは男心。むしろ興味がわく。しかし、女心がそう単純じゃないのは古今東西統一理論。なぬ〜!ウチの息子に女の影!それも子どもまでいる〜!?うぶな顔して…だまされてたあ!てな具合(なんでしょうか)。
で、私が帰宅したころには、カミさんすっかり神宮司くんのファンになってました。しまいには「藤巻め〜、前田め〜、まだ神宮司くんをいじめてるのかあ!?」とすごんでました(笑)。
私はというと、たしかに神宮司くんは米倉涼子に似ていい女だな(?)、と思う程度でして、そんなことよりニューアルバムの内容に正直うるうる…。
いや、私もすっかり大人になりましたし、もともとレミオに関しては、まさに親心的気持ちで接してきましたので、いわゆるショックとか「レミオロメンは死んだ」とかは言いませんよ。成長の過程だと思ってます。純粋でかわいかった子どもが変に色気づいたり、親の理想から離れていったり…世の常です。
つまりあまりに商業的になってしまったということです。小林武史の思うがままに操られている…いや、もっと大きな力に流されている。そう感じてしまったファンの人、特に古くからのファンの方は多いでしょう。ストリングスやシンセも前作に比べとってもうるさくなってます。楽曲も外側に向かう突き抜けたものばかり。歌詞には慣れない英語も登場して、一見彼らのアイデンティティーは崩れてしまっています。
本当にこういうことってよくあることなんですよね。というより、普通のことです。私はいろいろなバンドのことを思い出しました。ビートルズ、ELO、イエモン、アドバンテージ・ルーシー…。自分がよく聴いてきた音楽も、必ずこうした問題にぶちあたり、そしてある種のファンの失望を買ってきました。自分たちの夢が叶って大きくなってしまった結果、要求されるものが自分たちの表現したいものを上回ることというのは、音楽に限らず芸術活動にはつきものの現象です。
しかし、不思議なもので、その時失望したファンの中に、のちにその変わってしまった対象を愛することができるようになる人たちもたくさんいるのです。私も上記バンドに限って考えても、まさにそういうことが5年越しとか、そういう単位で可能になったんです。
変わってほしくないものが自分の意志に反して変わってしまう。そこに絶望したり、嫌悪を感じたりする…そうまさに「もののあはれ」なんですね。しかし、それはある意味、自分の変化がその相手の変化に追いついていない、ということなんです。その相手は、変わりたくないとは思っていない。むしろ変わりたい、変わらなければと思っている。それはそうです。こうして日常をトロトロと生きている自分と、何百万枚ものCDが売れて何百万人もの人の心を動かしてしまう彼らとは、あまりにその人生の密度が違うんですから。
このアルバムを聴く前に、雑誌B-PASSで彼らの心境を読みました。そうとう苦しんでいる。私が簡単にパターン化するのも申し訳ないほど悩んでいる。その苦悩を乗り越えた結果が、そう『HORIZON』だったんです。新たな地平に向けて、今を乗り越えていくっていうことだったんですね。
で、私たちが何年後かに、今の彼らにようやく追いつくんですよ。私くらいの歳になれば、そういう体験をたくさんしてきているので、今回のアルバムをある程度冷静に受け止めることができますけれど、若い、でも真剣に自分の人生と彼らの歌を重ねてきたファンたちには、ちょっと辛すぎる内容かもしれません。
しかし、これは決して不幸なことではありません。むしろそうした「もののあはれ」と、それを乗り越えた「諦め」…明らかになるということですよ…の境地をもたらす優れた経験だと思います。私もじっくり彼らの成長ぶりを見守っていきますよ。そんなことを考えながら聴きなおすと、なんだか切なくなっちゃいました。若い彼らが一生懸命戦っている。自分と世界と。
ところで、最初カミさんはいろいろとショックを受けていましたけど、最後はご満悦でした。初回盤購入者限定で見られる映像に自分が映っていたからです!なんでも印がついたあたりに映ってるとか。ホントかなあ。なんだか心霊写真を見てるみたいなんだけど。ここに映ってるって言われても…。
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