『スキージャンプ・ペア~Road to TORINO 2006~』
これもまたお借りして観てみました。こちらですっかり食傷してしまった私としては、けっこう勇気を要しました。観賞後の感想は「ま、けっこう面白かった」でしたので、一安心。
かといって、これを劇場で観たり、あるいは5000円払って買ったりするか、と聞かれれば、やはりノーと答えざるをえません。その程度の内容です。
アイデアは悪くないと思いますよ。ドキュメンタリー風、もっと具体的に言うとプロジェクトX風。そんな感じで、偽ドキュメントを作るというのは、素人考えでもそう難しくありません。お金と時間があればいくらでもできますね。ある意味安易な方法と言えるでしょう。
で、そこでいかにプロフェッショナルな仕事の流儀を見せるかどうかでしょう。その意味ではちょっと詰めが甘かったような気がします。
ドキュメンタリーのリアル感というのは、自然な不自然さそのものです。つまり、日常がそうであるように、動きも言葉も予測不可能なアドリブの集積であるべきなのです。その点、残念ながら、あまりに芝居じみてしまったのは、主役である「原田教授」でありました。
これが、CGにおけるジャンプシーンと同じように、あえて選択した流儀であったとしたら、ちょっとそのセンスを疑いますね。
たまたま猪木も出てましたが、総合格闘技のイベントで、プロレスの試合を挿入するようなものでしょうか、CG部分は。それはそれで効果的であると思います。全体が作り物なわけですから。そう、猪木の存在自体もプロレス的で悪くなかったと思います(人によってはあそこで萎えちゃったでしょうけど)。
しかし、原田教授(志賀圭二郎さん)の演技は、いかにも上手な演劇になってしまっていて、つまり、不自然な自然さになってしまっていて、せっかくのドキュメンタリー風部分のドキュメントテイストを殺す結果を招いています。こなれたプロレス流なわけです。原田兄弟を演じた益子兄弟が、その点あまりに上手な自然な不自然さを実現しているために、ちょっと残念な気がしました。
もちろん、本当の素人である船木選手や八木さんが自然に不自然なのは当然です。荻原次晴さんは…ちょっと天才的なタレントを持っていますから、別だと思った方がいいみたいですけど。
全体によく笑える内容になっているんですが、それがプロフェッショナルの領域にまで至っているかというと、ちょっと疑問でした。(僭越ですが)なんか私が考えそうなネタばっかりなんだもん(笑)!
私とカミさん的には、皇帝の抱いていた黒豹(?)が一番萌えました。ウチの弥右衛門にそっくりだったんで。
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