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2006.04.20

ジャコ・パストリアス&ビレリ・ラグレーン 『ライヴ・イン・イタリー』

Jaco Pastorius Bireli Lagrene Thomas Borocz 『Live in Italy』
Lii なんじゃこりゃ〜。久々にKOされました。「感動禁止!」なんて、やっぱり無理ですよ。これを聴いてなんとも思わない人なんているんでしょうか。
 これ、聴くのを忘れてたんです。不覚にも。そしたら陋劣慙愧さんという方がこちらのビレリの記事にていねいなコメントをつけてくださったんです。それで急に聴きたくなって手に入れたのです。で、聴いてみて完全KO。ここ数日一日中何度も聴いてます。陋劣慙愧さん、本当にありがとう!いつも書いてますけど、ブログって本当に新しい縁の創造の場ですね。感謝感謝。
 それにしてもすごいライヴ。もうオープニングのビレリのインプロヴィゼーションからして鳥肌立ちまくりです。完全にバッハじゃないですかあ。無伴奏エレクトリック・ギターのためのファンタジーですよ。そこから、さりげなくあのスモーク・オン・ザ・ウォーターのイントロへ。かっこいいシャレってあるんですねえ。そこからあのTeen Townへなだれこむ。もちろんジャコのベースも加わります。
 もう、そのあとは…陋劣慙愧さんの説明の通りです。何でもすごすぎると、こちらは打ちひしがれた気分になりがちなものですが、この音楽はちょっと違った。イタリアということもあるのでしょう、めちゃくちゃ楽しいんですよ。
 86年と言えばジャコも晩年。あまり評判の良くない録音が多い時期ですよね。身も心もグシャグシャでしたから。でも、たしかにこの日のジャコは往年の天才ぶりを遺憾なく発揮しています。あらためてとんでもないベーシストであったと痛感。何がすごいって…やっぱり全てです。音色、リズム、フレージング、アイデア、テクニック。
 今度歌謡曲バンドでフレットレスを久々に弾くんですが、かな〜りインスパイアされちゃいました。まあ、私の場合ジャコにインスパイアしてもらっても、どうしようもないレベルなんですが(笑)。
 さて、なぜこのアルバムが楽しいのか。その一つの要因は演奏されている曲目にあると思います。
1.Improvisation, No. 1/Teen Town
2.I Shot the Sheriff
3.Continuum
4.Fannie Mae
5.Black Market
6.Satin Doll 
 ごらんのように、レゲエからポップ・ロック、スタンダード・ジャズ、そしてウェザー・リポートまで、本当に多彩でゴキゲンなナンバーが続いています。この選曲が聴衆と演奏者を奇跡的空間と時間に導いたと思いますよ。
 陋劣慙愧さんが「十二単」とおっしゃった。まさに至言であります。その通りです。ギター、ベース、ドラムスというトリオによる演奏ですから、あるいはモノトーン的になっているのでは、と思われるかもしれませんが、とんでもない。ものすごい色彩感です。同じ形のトリオとしては、こちらでGHSを紹介しました。彼らもものすごかったんですが、比較してみるとややモノトーン、単調なんですね。いかにジャコとビレリが天才であるか、そしてこの日絶好調であったかがよくわかります(すみません、ドラムスの人知りません。非常に普通な演奏です)。
 で、で、やっぱり陋劣慙愧さんも述べてらっしゃいます通り、このアルバムはジャコ名義ですではありますが、内容的には完全にビレリ・ラグレーンが主役であります。これほどうまい(いろいろな意味で)ギターは久々に聴きましたよ。なんと当時まだ二十になったかならないかでしょ?ありえませんよ〜!ジャコとタイマンやって正直勝ってるんですから!
 時にハープのように、時にチェンバロのように、時にオルガンのように、時にヴァイオリンのように。ギターって奥深いですね。もちろんビレリの超絶テク、ジャコ並みにすさまじいんですが、それ以上に一つ一つのフレーズのアイデアの豊かさですね。どの程度即興なのかは知り得ませんが、作曲だとしても神が降臨してますね。美しい。
 ホント、いろいろな意味で奇跡の50分間ですので、とにかく聴いていただきたい!しかし、国内盤は廃盤になって久しく、また輸入盤も手に入りにくい状態なんです。私も中古で手に入れました。なんで、こんなにすごいアルバムが日の目を見ないんでしょうねえ。ジャコの作品として考えても、非常にクオリティーが高いと思いますが。どうしようもないヘロヘロのジャコの演奏が店頭に並んでるのに…。
 ふ〜、完全にKOされました。それも第1ラウンド開始20秒くらいで。でも、また聴きたくなる。2回目にはなんとか第2ラウンドまで耐えよう…そんな感じで、今まさに11回目の挑戦をしています。KOはされなくなりましたが、いろいろな発見があり、感動は深まるばかりです。これは当分はまりますな。お宝決定!
 
Amazon Live in Italy

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コメント

返信がここまで遅れておいてなんですが、こちらこそ庵主さんには大変感謝しております。自分にとっての名盤をブログという形で取り上げて頂き、日の目を当てて下さり、且つジャコの全盛期の灯りが76~82までだけで消えたのではないということが氏の文面からは十分伝わって証明できたのですから。氏にとっても名盤足り得たようで何よりです。

ジャコとビレリの宴はこれで終わった訳ではなく、引き続きイタリア(ローマ)でのLiveを収めたアルバムをもう一枚残しています。まだ手に入れてはいないので音質面でLIVE IN ITALYに匹敵しうる物なのかどうか判断しかねるのですが、こちらはジミ・ヘンドリクスの曲をメドレーで二人で再現したりと、あのM-1で披露してくれたスモークオンザウォーターでのヤンチャさが更に増したへヴィーな内容になっていると思います(詳しくはこちらのサイトに)http://www.ne.jp/asahi/3views/home/jacopage/library/dscgraph/heavyn00.html

ビレリはというと、ジャコ没後から三年後の91年に、自身のアルバムでジャコのトリビュートとも取れる内容の作品を発表しています(このアルバムはブルーノートレーベルから販売された物ですが、ビレリがこのブルーノートと契約した時期がちょうどジャコが没した87年というのも興味深いです)そこではギターだけではなくフレットレスベースもビレリが弾いているのですが、もしジャコが生き続けていたとすればこのアルバムに参加してもらうはずだった、そういった願いもあったのでしょうか、ここでのベースは音色、フレージングともにジャコ本人によって弾かれたのではないかと思う程のテクニックを披露しています(詳しくはまたこちらのサイトで)
http://www.ne.jp/asahi/3views/home/jacopage/library/coversng/bireli00.html

ビレリにとってジャコとのヨーロッパツアーでの体験は、幼年から父親にギターと共にジャンゴスタイルを継承され、四歳からステージに立ち、11歳で既にジャンゴの演奏をマスターし、正にジプシーの名門に生まれ育ちそれに応えてきたビレリにとって、一夏の思い出に、ちょっと近所でも不良と評判の宜しくないお兄さんと遠出して周りを心配させたが、帰ってきてからは何事も無かったかのようにまた以前のジプシーとしての鞘に治まり、歩み始めたその矢先に彼の訃報を知った・・・。ここまで発展する礎石を作ってくださったジプシー・プロジェクト&フレンズという作品にも、そういったジャコとの交流から得られた数々の足跡が小出し小出しに顔を覗かし、それに気付かない周りに対して「してやったり」とジャケットでのあの笑みに繋がっているのかもしれませんね。

投稿: 陋劣慙愧 | 2006.05.27 15:59

すいません、
引き続きジャコとビレリのlive
http://www.ne.jp/asahi/3views/home/jacopage/library/dscgraph/heavyn00.html

そしてビレリのソロアルバムが
http://www.ne.jp/asahi/3views/home/jacopage/library/coversng/bireli00.html

リンク紹介先をどちらもそのサイトのトップページに飛ばしていました。

そしてジャコが没して三年後ではなく、四年後ですね。
ホント訂正が多くて見苦しく申し訳ない。

投稿: 陋劣慙愧 | 2006.05.27 16:36

陋劣慙愧さん、どうもどうも。
またまたありがたい情報を。感謝です。
ちょうど自分のライヴでフレットレスを弾こうかという時にコメントが入り、おかげさまで気合いが入りましたよ(笑)。
なんともう1枚あるんですねえ!知りませんでした。
こちらもものすごい内容ですねえ。そそられます。
う〜ん、聴いてみたい。探してみたいと思います。
近所の不良のお兄さんと…なるほど、そのイメージぴったりですね!
思わずうなずいてしまいました。
陋劣慙愧さんの比喩はいつもお見事です。
また、何かありましたら教えて下さいね。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2006.05.28 06:25

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