« 『マイケル・ジャクソン IN ネバーランディングストーリー』 | トップページ | ラブandベリー »

2006.04.29

トッカータとフーガ(バッハ?)を巡って

B00003z9uy01mzzzzzzz 「チャラリ〜、鼻から牛乳」…最近小学校に入学した娘が唄ってました。どうも、給食の時間に、実際鼻から牛乳が出たらしい。給食というのは大概お行儀が悪いもので、ほとんど大人の宴会が毎日繰り広げられているような状況です。ですから、鼻から牛乳が出たり、ごはんつぶが出たり、そう私はキャベツが出ましたが、そういうことも不思議でないわけです。不思議ではないが、ちょっと恥ずかしい。出てしまったものは引っ込みがつかない。そういう感情を上手に表した慣用句?であります。
 で、ちょっと思ったんですけど、これって「鼻から牛乳…」としか言ってませんよね。牛乳がどうした、という部分は省略されています。いや、「牛乳が…」だったら「出た」でいいと思うんですけど、「牛乳を…」だったらどうなんでしょう。「鼻から牛乳を飲んで(吸って)目から出す」という芸は、昔からあります。電撃ネットワークの誰かがこれに失敗して鼓膜を破った、なんて事件もありました。トルコかどこかでは、こうした噴射形式による牛乳飛ばし大会があるとか。
 まあ、イメージとしては「失態」ですから、やはり「出ちゃった」でいいんでしょうね。また考えすぎか…。
 ところで、「鼻から牛乳」と言えば、一般には嘉門達夫でありますが、もともとは「ぜんじろう」さんのネタであったとも聞いたことがあります。ま、いずれにせよ、嘉門さんの功績は大ですね。で、その嘉門さんの歌ですけれど、もちろんメロディーはあの「トッカータとフーガニ短調」の冒頭ですね。バッハです。
 バッハです…というのは、たぶん、「鼻から牛乳」が嘉門達夫である、というのと同じくらい一般論になってますね。しかし、実際にはいろいろと問題があるんです。あまりに有名になってしまい、小フーガとともに教科書に載ったりしてますから、普通の人は「バッハと言えばラソラ〜」というイメージができ上がっていますけれど、ちょっとバッハをかじった人なら、どうもこの曲には深みがない、と感じることでしょう。和声的にも対位法的にも、どうもバッハらしくない。少年バッハの習作にしても、やはり物足りない。これは事実です。
 で、昔からいろいろな説がありました。バッハのお弟子さんの作だとか。さらには、この曲は実は無伴奏ヴァイオリンのために作曲されたものだという説まであります。この曲を弦楽合奏に編曲して演奏したことがありますが、たしかに音型がヴァイオリン族的であり、比較的演奏が容易であったと記憶しています。しかし、いくらなんでも、あの壮大な(と一応言っておきます)曲をヴァイオリン一挺で弾くのは、演奏技法上も演奏効果上もどうなんだろう、という疑念があったのも事実でした。
 といわけで、今日その無伴奏ヴァイオリン版を初めて聴くことができました。アンドルー・マンゼによる演奏です。マンゼとリンデン、エガーによるヴァイオリン・ソナタ集に収録されているのですが、私はiTMSでこの曲だけをダウンロードしました。ちなみに150円です。便利な時代ですね。さあ、シュレーダーの編曲にさらにマンゼ自身が手を加えてでき上がったヴァージョンは、どのように響いたでしょうか。
 まずは結論。いいんじゃないですか。けっこうそれらしく、つまり元々ヴァイオリンのための曲であったかのように感じました。ヴァイオリン一挺のための曲としてはよく出来ていると思います。たしかに、たとえば無伴奏ソナタの名曲シャコンヌやフーガを、そのままオルガンで弾いてもさまになりません。かなりの編曲を施さないとうすっぺらになります。しかし、それらを無伴奏ヴァイオリンで弾くと、これはもういろいろな意味でものすごく重厚厳粛な音楽になる。不思議と言えば不思議ですね。このトッカータとフーガも、復元作業によってかなり音が薄くなっているのですが、しかし、演奏効果としては、なかなか立派なものです。
 ここでは、イ短調に移調されていますが、考えてみればニ短調のまま、ヴィオラで弾くという手もあるような気がしました。バッハのヴィオラの無伴奏曲は今までありませんでしたから、これはヴィオラ弾きにとっては魅力的なレパートリーとなるでしょう。さっそく自分で編曲してやってみるかな。
 ところで、また嘉門達夫に戻っちゃいますけど、あの冒頭の「ラソラ〜」ってとこ、皆さんは何て言ってます?ネットで調べてみても「チャラリ〜」「タラリー」「チャララ〜」「チャリラー」「タリラー」「ジャジャジャ〜ン」「チラリー」「チャラリーン」「チャララ〜ン」「タリラリラ〜ン」などなど十人十色百花繚乱であります。最後のなんか、なんかと混ざってますねえ(笑)。だいたい、モルデントが1回多いような気もする。いや、コープマンなんか「チャーラリラリラリラリ〜」とか弾いてますからねえ。別に間違いじゃないか(笑)。どうもオリジナルは「チャラリー」に聞こえるんですけどね。
 というわけで、日本人に最も広く愛され、そして慣用句にまで成長した「伝バッハ作トッカータとフーガニ短調」でありました。

Amazon Bach: Violin Sonatas

不二草紙に戻る

|

« 『マイケル・ジャクソン IN ネバーランディングストーリー』 | トップページ | ラブandベリー »

音楽」カテゴリの記事

コメント

私はタラリ~です!

といきなり失礼いたしました。
初めてお邪魔させていただきます。
以前から(10ccのポタのCMの話題の時から)拝見させていただいていました。
もういつも圧巻です!

ちなみにうちのお隣にいた女の子(当時2歳ぐらい)は両鼻から同時スパゲティーナポリタンでした。(笑)
失礼いたしました。

投稿: あんりまー | 2006.04.30 21:16

あんりまーさん、初めまして。
私の駄文を読んでいただいて恐縮です。
ポタの記事はけっこう自信作?でした。
やばいっすよね、あれ。
ところで、
あんりまー、鼻から牛乳ってのもいいですね(笑)。
擬態語として考えるとたしかに「タラリー」が一番かもしれません。
ちなみにポタは「とろり〜ん」でしょうか。
それにしてもナポリタンは痛そうですね。
くしゃみでもしたのでしょうか。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2006.04.30 21:34

早々のお返事ありがとうございます。
私も10ccをこよなく愛するおばさんです。
あれはやばいです!(笑)
私とことんミーハーですのでポタを5個も買いました。前のスカイラインやバイオは買えませんでしたから。。。

あんりまーは実にリズミカルてことですね(笑)。
鼻から牛乳♪と言ってたら大学生の娘がむせてました!!
これはアンリ・カルティエ・ブレッソンとヨーヨーマを合体させました。(笑)
これからも楽しみに拝見させていただきます。
余談ですが(全部余談?)こちらでレミオロメンのファンになりましたです。

投稿: あんりまー | 2006.04.30 22:21

あんりまーさん、すみません。
あんりまーがそんなに高尚な由来を持つお名前だとは…。
失礼いたしました(汗)。
私もいろいろな音楽を聴きますが、
やっぱり10ccは格別ですね。
そして、最近ではレミオロメンも。
こうしてレミオロメンファンが増えたということで、
いつもはこのブログをなかばあきれて読んでいるウチのカミさんも、
きっと喜んでくれると思います。
ありがとうございました。
では、今後ともよろしくお願いいたします!

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2006.04.30 22:45

いっぺんに書けばいいのに、すみません。
忘れ方が日に日に多くなります。(汗)

近所のナポリタン娘ですが、私が引っこ抜きました!特別何事も起こりませんでした。(笑)

私自身もこの名前はずっこけに使っておりますのでご心配なく!!
高尚なんてこれっぽっちも思いませんでした。でもよく考えれば厚かましくもくっつけたもんですね。(笑)

今後ともこちらこそよろしくお願いします。

投稿: あんりまー | 2006.05.01 10:17

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/55913/9814365

この記事へのトラックバック一覧です: トッカータとフーガ(バッハ?)を巡って:

« 『マイケル・ジャクソン IN ネバーランディングストーリー』 | トップページ | ラブandベリー »