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2006.03.15

「〜」or「〜。」

 学校というのは本当に変なところです。そこで働く先生もけっこう間違ったことを教えています。先生が言うのですから間違いありません。
 これはシャレではありません。本当に時代に取り残された所です、学校は。そういう古風な所も世の中には必要でしょうが、そこで働く先生の意識までもが時代に取り残されていては、生徒たちにはいい迷惑です。
 かく言うワタクシも先ほど書きましたように学校の先生であります。生まれて3年ほどは社会に出てましたけれど(笑)、4歳くらいから今までずっと、社会から隔離された学校という所に通っております。
 3年ほど社会に出たと言っても、そこはほとんど家庭という場でしたし、だいたい社会なんかを意識する年齢ではない。したがって、極論すれば、私は生まれてこの方、社会らしい社会に出ていない、娑婆の空気を吸ったことがない人間だということになります。
 世の先生方に、そういう意識があるのでしょうか。私はことあるごとに、その恐怖を感じてきました。だから、とても生徒に偉そうなことは言えません。いえ、それ以前に、「先生の言うことは信用するな」と強調してきたのです。
 …と、ここまでは、実は導入であります。さりげなく本当のことを書いちゃってますが。ははは。
 で、今日は何を書きたいかと言いますと、文章の書き方、というか原稿用紙の使い方についてなんですね。
 学校の先生方にも、一般社会人の方にも、一度は考えてもらいたいことなんです。
 先ほどの、諸刃の剣的というか自傷行為的というか自戒的というか、とにかくかなりアイロニカルな導入の、その最後のところですね。…いえ、それ以前に、「先生の言うことは信用するな」と強調してきたのです。…というところ。
 これをですねえ、「……」部分を改行するとしたら、皆さんは原稿用紙にどう書きますか?
 A       B
social school
 もうお分かりと思いますが、4行目の最初のかぎかっこの前を一マス空けるか、というのが最初の問題点です。そして、最後のかぎかっこの前に『。』つまり句点を打つか、というのが次の問題点。そして、その次の行の頭を一マス空けるかどうか、というのが三つ目の問題点になります。
 ですから、当然組み合わせによってはA、B以外のパターンもありますよね。ではなぜこれら二つのパターンだけ記したかと言いますと、実はA、Bがダブル・スタンダードだからです。
 Aは一般社会での標準。Bは学校での標準です。もう少し正確に申しますと、Aが出版業界、Bが教科書の標準というわけです。
 最初に書きましたように、生まれてこの方ずっと学校に通っている生徒や先生は、Bこそが正しいと思いこみがちです。しかし、世の中に流通しているほとんどの文章はAの形なわけですね。そこのところの矛盾というものを、先生は意識しているか、ちゃんと説明できるか、ということなんです。生徒には罪はないでしょう。だって、先生や教科書は正しいと信じているから(?)…。
 実は、事態はもっと複雑なんです。組み合わせによってA、B以外もありますし、コンピュータ上での制約からも想像できるとおり、(。」)を一マスに入れるちゃうか、ちゃんと二マス使うか、というのも問題になります。作家さんによっては、学校式にこだわる方もいらっしゃいますし、それをどこまで尊重するかという編集者の考えもいろいろです。
 こんなことが気になって、いろいろと教科書やら問題集やら普通の書籍やらを眺めていましたら、本当に頭が痛くなってきました。
 ある教科書では、同じ作品内でも統一されていない。それがオリジナルを尊重した結果なのかどうか、ちょっと疑問です。単なるミスではないでしょうか(出版社に訊いてみます)。
 学校での授業を基にしているであろうセンター試験の問題もメチャクチャでした。あらゆるパターンが確認できます。見本市みたい。
 こうなってくると、もう正解はない、ということになってしまいますね。まあ、本当のところそれが正解なんですけど。ただ、AとBの違いはあまりに大きい。学校も現代社会のスタンダードに合わせていいと思いますよ。旧態依然と言っても、ちょいと程度がひどすぎませんか。私も含めて、先生や学校は、もっと世間を知らないと。

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コメント

お宅からネコを頂いたあきのです。
あのネコはたくさん子を産みました。保健所へ持っていく心配全くなし。みんなが欲しがってそれぞれがパソコン画面いっぱいにしてたのしんでいます。
その後毎日ブログ訪問、ネコでない部分を読ませていただいてます。まったく感心させられる。文のうまさに。なんでこんなに味のあること書けるかなあとため息がでるほどです。
今朝のブログ原稿用紙。まったく、まったく。
わたしも強く感じていることです。ワープロで1マス下げて括弧を入れると、ほんとうに間延びしますから。

投稿: 寺山あきの | 2006.03.16 04:49

あきのさん、おひさしぶりです。
とは言え、私も毎日訪問させていただいていますので。
そんなそんなぁ…、味のあるとは、まさに、あきのさんの文章のことですよぉ。
あんまり調子に乗らせないで下さい(笑)。
ネコちゃんもおかげさまでたくさんの仲間ができたようですね。
紹介して下さってありがとうございました。
それにしても、本当に学校というのは困ったところです。
私は、そこにどっぷりにならないようにという意味もこめて、このブログを書いています。
原稿用紙の件、まああんまり形式にこだわらなくていいような気もしますけれど。
たとえばブログの場合、本当に自由ですよね。読みやすければいいと思いますし。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2006.03.16 07:53

原稿用紙の使い方について
父と話をしてしまいました。
父も私もAを選びました。
いつの間にか、学校スタイルから企業スタイルになっていたんですね。

投稿: SHINA | 2006.03.17 18:38

SHINAさん、どうもです。ブログいつも楽しませていただいてますよ。
さてさて、SHINAさんもお父様も、Aを選ばれたということで、このたびはおめでとうございます!?
よかったですね、社会人(=大人)だっていうことですよ。
ここだけの話、学校の先生にはAの書き方なんて存在してないと思っている人もいるんです。
たとえば、カギカッコの前の句点についても、つけるのが当たり前だと思っていて、私に言われて初めて世界の主流を知ると言った始末。
いやはや、困ったもんです。
今や。」と印刷されてるのは、教科書と一部の絵本、学習雑誌くらいのものですからね。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2006.03.17 19:02

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