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2006.03.14

『丹下健三 いにしえから天へ地平へ』 ハイビジョン特集 シリーズNIPPONの巨人

tg 昨日放送のものを早朝観ました。丹下さんに関しては、私は「追悼 丹下健三 幻の迷作『駿府会館』」という記事を書いています。そう、亡くなってそろそろ1年になるわけですね。
 今日はちょっと問題発言があるかもしれませんけど、一人の男の寝言のたぐいと思って読んで下さい。
 男の仕事とは何なのか。これについて考えながら観ました。もちろん、丹下さんの建築のお仕事に関する、彼ならではの独創性やこだわり、あるいは美意識というものについて、いやというほど(笑)よく分かりましたよ。いい番組でした。ただ、私の好きな天才丹下さん及び丹下作品とは、いささかズレがあった。それもまた面白かったわけですが。
 それで、先ほどの件です。人は「モノ」の宿命である変化(無常性)に対抗して仕事(「コト化」)をします。それが生命の営みの本質です。いつもモノ・コト論で書いている通りですね。で、究極の仕事(シゴト)あるいは事業(コトワザ)は「子(コ)」を産み育てるコトです。それは女性に与えられた仕事ですね(こう書くと怒られるご時世ですが…いや、でもそんなの仕事とは言えないって言っても怒られる…)。
 では、男はどうすればいいか。女が子を産むために種を蒔くだけではいけません。自分も女も子どもも生かさねばなりませんから、獲物をとらねばなりませんね。つまり食べ物を手に入れなければならないわけです。それが、経済活動の根本です。人間社会、特に近代社会においては、それこそを「仕事」と呼ぶようになりました。
 えっと、やっぱりここで言い訳がましくなりますけど、一言。
 今述べた近代的仕事観、これはあくまでも決めごとでありまして、つまりは、近代社会=男性中心社会(実体は男の強がり社会ですけど…)における恣意的な記号論であります。女性はそこのところ…すなわち、出産、子育て、家事などがシゴトでありながら「(職業としての)仕事」と呼ばれなくなった矛盾…に賢く目をつぶっていてほしかったわけですが、男の空威張りが無効になった現代においては、そんな男の根拠薄弱な望みも虚しくついえてしまいまして、先ほど申したように女性が怒り出すご時世になった…。
 と、ずいぶん回りくどい言い方をしてしまいましたね。とにかく女性本来のシゴトを「仕事」だと認めない(直接的に対価を与えない、あるいは評価しない)社会(=男の集団)と、なのに家ではそれを「それは女の仕事だっ!」と言って憚らない旦那(男個人)と、その矛盾に目をつぶれないほど愚かに強くなってしまった女との、三つ巴の抗争が今日もまた、ここでもでもあそこでも勃発しているわけです。で、だいたい女は強いに決まってるので、男と同じように仕事をさせろと要求する…。
1 ありゃりゃ、丹下さんの話が、ウチの話になっちゃったぞ。え〜と、そう、三つ巴じゃなくて、「巴」構造は昨日の番組でも紹介されてましたね。代々木の体育館です。あれは感心な巴でした。
 それでですねえ、完全に話を戻しますが、男の仕事にもいろいろあるわけです。ああやって永遠とは言わないがかなり長年にわたって残る「モノ」を残すというのも一つの手です。建造物も「モノ」ですから不易不朽ではない。駿府会館のように跡形もなく突如消えてしまうこともあります。でもそれは特別なケースで、ほとんどの作品は丹下さんの死後も存在し続ける。
 そして、丹下さんの業績、名声、伝説はもっと長く残る。少なくとも作品よりは長く残るでしょう。また、彼の建築家としての遺伝子は、弟子たちに受け継がれていきます。情報は意外に経年変化に強い。
 男が「モノづくり」に専念するのは、そういう本能からだと思います。ホンモノのDNAの継承だけではちょっと不安なんですね。女の人はほとんどそれで満足でしょう。もちろん、余裕があれば男まさりなコトを為してもいいですよ。男は常に余裕なんかないんです。だから、今のような「モノづくり」社会を作り上げた。しょせん「モノ」ですから、永遠ではないのに。虚しい事業です。
 「プロジェクトX」や「プロフェッショナル仕事の流儀」や今回のような番組には、女性よりも圧倒的に男性の方が引き込まれるでしょう。私もご多分にもれず、ああ、自分も何か残さなきゃ、という焦燥感に駆られました。それが虚しいコトだとわかっていても、です。
 本来は自分と家族が喰っていけるだけの獲物をとってくればいいんです。それ以上のコトを為そうとするから、エコロジーが崩れる、環境が悪くなる、種の滅亡へ突っ走る。分かってるんですけどね。でもやめられない。男の本能のプログラムに不備があったのでしょうか。それとも、先の先のリスク回避のために蓄えようとする智恵なのでしょうか。そうは思えない、今日この頃の自分と社会であります。

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