『一度死んでみますか?』 島田雅彦 しりあがり寿 (PHP新書)
漫談ってサブタイトルにあるんですが、どうなんでしょう。少なくとも対談ではないなあ。あまりにお二人のキャラが違いすぎて、全然対等じゃない。
島田さんしゃべりすぎですよぉ。語るのがお仕事ですからやむをえませんか。それに比べてしりあがりさん、得意の心配性と謙虚さで「〜なのかなー」とか「どうなんだろう?」みたいなことしか言っていません。では、問答になってるかと言うと、そういうわけでもない。しりあがりさん優しいから「なるほど〜」って聞いてるけど、もしこれがどっかの老師だったら「違うっ!出直してこいっ!」て怒鳴りますよ。
仕事柄というか人柄なんでしょうけど、島田さん肉食獣みたいです。しりあがりさん、草食小動物って感じです。でも、圧倒的に肉食獣のハラ具合に余裕があるから、草食小動物に優しい。そう、「あらしのよるに」みたいなことになってます。でも、いや、だからかなあ、なんか不自然。
だってしりあがりさんの方が年上でしょ。編集の関係だろうけど、島田さんの方が偉そうに講釈並べてて、しりあがりさんが丁寧に敬語で受け答えしてる。これでいいんでしょうか…いや、余計なお世話なんだろうなあ。
小説って迷ってるように見えて結構メッセージが最初から仕組んであるっていうのが普通です。というか、そういう精神構造の人が作家になるんですよ。漫画家ってどうなんでしょう。少なくとも、しりあがりさんのマンガは、やはり「〜なのかなー」とか「どうなんだろう?」なんですね。だから禅味という意味では、しりあがりさんに軍配が上がる。
この本の読者のほとんどが、島田雅彦かっこいい〜、でしょう。それはかっこいいけど、私には、なんか肉食獣の強がりというか、空元気というか、傲慢さというか、実は孤独というか、そんなものを感じてしまいましたね。逆に言えば、「〜なのかなー」とか「どうなんだろう?」の繊細さ、美しさ、優しさ、実はしなやかさみたいなものが、コントラストとして浮かび上がるということです。
「メメントモリ」…「死」こそ、そういった人間性というか、いや人間だけじゃないな、存在性というものを照射する最も端的なテーマでしょう。どなただったか、どこかの高僧が、いまわの際に「死にたくない!」と言ったことを思い出してしまいました。
あんまり分かったように語るとうさんくさくなるということです。そう言えば島田さんについてこちらにもそんなこと書きましたね。自己矛盾してくる。作家のサガです。まさにそれと戦うのが作家業であり、あるいはまた作家行でもあるかもしれません。禅とは反対の荒行なんだろうなあ。だから尊敬しますよ、もちろん。
いや、分かってるんです。ワタシも語りすぎだってこと。だから、自分はどちらかというと、やっぱり尻上寿老師について禅の修行をしたいですね。あっそうだ、老師、高校の先輩なんだよなあ。弟子入りさせてくれないかなあ。同窓のよしみで。
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