『不勉強が身にしみる 学力・思考力・社会力とは何か』 長山靖生 (光文社新書)
長山さんに「不勉強が…」なんて言われると、まったく立つ瀬がないワタクシであります。
こちらでも紹介しました長山靖生さんは、私にとってちょっと身近な憧れの人です。いや身近と言っても、知りあいとか近所に住んでるとかではありませんよ。なんというか、勝手な親近感を持っているのであって、私に憧れられる長山さんに罪はなんにもありません。
例えば、この本など、端から端までほとんど知ってる話なんですね。もちろん細かいところには今回初めて知ったということもたくさんありますが、トピックとしては全部私の興味の対象、もしくは私の得意なものなんです。
受験勉強、趣味、読書、育児、ゆとり教育、個性、国語、数学、倫理、歴史、物語、論理的思考力、芸術、プロ…こうしたキーワードを挙げるだけでも、なんとなくそのことをお分かりいただけるのでは。
ですから、読みながら首肯すること数百回。大いに納得して、大いに学び、大いに勇気づけられました。こういう読書は楽しくていいですね。気の合う、しかし明らかに自分より秀でた人と、さしで飲んでいる感じ。
長山さんを知ったのは、以前の記事に書いた「偽史冒険世界」ででした。つまり元はと言えば、トンデモつながりなのです。まさに「偽史」をライフワークにしようとしていた(今でもしてると言えばしてます)私にとって、長山さんの客観的な、しかし愛情に満ちた態度は、ものすごく大人に感じられました。
「不勉強が…」にもありました。「信じる」ことは「思考停止」を意味すると。そこに「物語」が侵入すると。かと言って、ハナから「物語」を否定するわけではない。これは私の理想とする姿勢そのものです。今回思ったのですが、こういう私自身の自分らしさみたいなものは、実は長山さんに教えていただいたのかもしれません。あの本を読むまでの私は、実は「思考」しているふりをしていて、実は「思考停止」していたのかも…。
あと、憧れのもう一つの理由ですが、ずばり文章ですね。漱石の研究家でもある長山さん、やはりどこか漱石を彷彿とさせるところがあります。漱石のエッセイみたいなんです。軽妙洒脱な中に、本質をズバリ。批判精神に満ちているのですが、鼻につかない、角が立たない。謙虚な中の確かな自己顕示。いいですねえ。誰かさんのように角だけ立って中身がないのとは大違い(あっ、誰かって私のことですから、勘違いしないように)。そう、長山さんは、原理主義からとっても遠いところにおられるんです。そして愛情、ユーモア。やはり文は人なりですな。
歯科医にして文筆家。二足のわらじも履きようです。大いに見習いたいですね。
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