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2006.02.02

『高校生のための評論文キーワード100』 中山元 (ちくま新書)

4480062424-1 ウチの学校、というか私の教えているクラスでは、国語、特に現代文の点を上げたかったらマンガを読め!と言っています。これにはいろいろと理由があるのですが、今日はそこのところは書きません。ただ、世間で言われる「本を読め!」には反対を表明しておきます。本は読むな、です。
 まったくまた変なこと言ってら、と思われそうですけれど、実際そうやって全国トップクラスの点を取らせてきましたから。ちなみに古文では「活用表は覚えるな!」です。面白いでしょう。
 ま、無駄な時間をかけて小難しい評論なんて読むな!ましてや小説なんて読んでるヒマはない!ということで、これではずいぶんと寂しい青春時代になってしまいそうですねえ。いや、でも現実にはちょっと違うんですよ。読むヤツは読む。ダメだと言われてする読書はいいですよ。でも読みたくないヤツには無理やり読ませたりしません。無駄ですから。 
 私も全く本を読まない高校生でした。マンガも禁止されていたのでほとんど読みませんでした。それでもこうして国語の先生もできるし、文も書ける。なんでだろう、と考えたとき、その答えはこうでした。それを生徒にもすすめています。
 とにかく問題を読み解く。これは非常に重要です。特に良質の問題集や有名大学の過去問。どなたか有名な方も言っていましたけれども、あそこに並んでいる文章は、まさにエッセンスです。それが集まっている問題集は宝石箱です。昨日の話題にも関係しますけれど、作問するとわかるんですよね。どうやって文章を選び、どうやって問題を作るか。
 入試問題には作問者の思想が色濃く反映します。ただ国語の知識や読解力を試すのではなく、ウチの学校には「これ」を理解する生徒に入ってきてほしい、この文章のこの考えに共鳴する、この文のここのポイントを理解する人間を教えたい…こういうことです。ですから、大学の先生方(知の第一線にいる方々)おススメの文章のおススメの箇所が出題されるのです。そして、ここぞ!というところに傍線が引かれる。これは間違いなく「最新の知のエッセンス」ですよね。理解を促す「問題」まで付いているわけですから、これはお得です。さらに答えもある。
 解答のための読解とただの読書ではあまりに質が違います。脳の状態が違うのです。これを活かさない手はありません。ただ点を取らないと怒られるからとか、気まずいからとか、そんなのではなく、知のエッセンスを吸収するためだという意識を植え付けて、問題に当たらせたいのです。
 というわけでして、ウチの学校ではマンガと過去問だけは相当の量消費されています。もうそれだけでOK。ただ難しいのは、その「知」の部分の基礎知識を誰が教えるかということですなあ。なにしろ高校の教科には「哲学」すらありません。現実としては、現代文の問題の中に、そういった現代思想的なものが大量にでてきてしまうので、国語科の教員はある意味自分の専門外である「哲学」を教えなければならないはめになるんですよね。専門外だから教えてない人もたくさんいるでしょうけど。
 私は比較的そういうのが好きですので、軽めですがそれなりに教えているつもりです。で、そんな時有用な参考書というのがいくつかあって、今までもそれらをこの場でおススメしてきました。今日おススメするのもその一つです。比較的新しい良書です。
 基礎的な哲学用語、現代思想用語を100ピックアップして、一つ一つを見開き2ページで解説してくれています。それぞれが「ポイント」「切り口」「展開」という構成になっており、かな〜り読みやすく理解しやすい内容になっています。単に辞書的な言葉の言い換えではなく、文脈を重視した解説になっており、正直大人でもかなり勉強になります。私は一日一項目ずつ読んでいます。まとめて全部読むと頭がオーバーヒートするから。
 ところで、こういう世界って、やっぱり「遊び」なんですよね。実生活とかけ離れている。それが快感なんですけれど。だから、大学って「知の遊戯場」なんだと思うんですね。そういう部分もあると思いますし、そこにテストを受けてお金を払って入園して、それで4年間、あるいはそれ以上遊んで来る…それでいいと思います。
 就職のための大学進学もありだと思いますけど、こういう意味で遊びに行くのもいいんじゃないでしょうか。人生長いわけですし。だけど青春は短いわけですし。
 すんません、とりとめもない文章で。

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