『Rodney's Wonder Window』
ウチの娘たち(3歳と5歳)のお気に入りは、ちと古いものが多い。テレビ番組も「ウルトラQ」、「ウルトラマン」、「ウルトラセブン」、「8時だよ!全員集合」とかね。アニメは「うる星やつら」、マンガは「天才バカボン」だったりして。これは彼女らの趣味が渋いというよりも、単に両親の教育方針です。ウチは幼少期から英才教育してますからね(笑)。昨日の記事ではありませんが、今風なものよりも、しっかりと日本の伝統文化に根付いた「本物」に接するように仕向けてます(ってか、大丈夫か…将来)。
で、コンピュータはMacです。彼女らが使っているのは、PowerBook(pismo)ですね。Intel入ってる「MacBook Pro」が発表された今となっては、すっかり旧世代の機種となってしまいました。しかし、あの美しさに触れることが、彼女たちの未来をも美しいものにしてくれるものと信じています(本当か?)。OSは9.2です。最新でしょ(笑)。
で、それこそ古くさい子ども用(子どもだまし)ソフトをいくつか入れて、勝手に遊ばせてますが、2,3歳でけっこうはまるのがこれです。数年前にハードオフで150円くらいで買いました。
その時はあまり意識しなかったんですが、あのロドニー・グリーンブラットの初めてのCD-ROM作品なんですね。ロドニーと言えば、今やCGの草分け的存在。いや、デザイナーとしてほとんど神様扱いされている人です。日本でも、PUFFYのジャケットを担当したり(たしかにイメージぴったりだ。のちの彼女らのアメリカ進出のきっかけとも言えますな)、プレステ用ゲームのグラフィックを担当したり、そうそうウゴウゴルーガにも参加してましたね。ロドニーカフェなんていうのも出来たりして。
そんな彼がMacを使い始めて、その可能性を予感して作ったのがこの Wonder Window とのこと。1992年のことです。本当に何ということもないゲームというか、アニメーションというか、エキシビジョンというか、今のゲーム界やCG界を考えると、本当に子どものいたずら書き程度のレベルです。
しかし、じっくり鑑賞してみると、これはこれで完成された作品という気がしてきます。例えば、当時のMacは8bit256色です。しかし、ロドニー的世界においては、それで充分なわけですし、逆にそうした制約の中での仕事が彼の創造意欲を高めたとも考えられます。動きについても、メモリーやCPUの関係上、かなり単純化したものですが、これも基本的に彼の作風にぴったりと言えばぴったり。現代のCGよりもずっと個性的であり、また安心を与えてくれます。
何でもできるということが、個性や創造力を奪うということは、いろいろな分野で言われることです。便利になればなるほど、不便は減ります。当たり前ですね。しかし、不便と闘う知恵と工夫と努力の機会も同様に減るわけでして、こうした一見無駄(だった)と思われる知恵や工夫や努力こそが、作品に力を与え、また作者を育て、そしてアマからかけ離れたプロを作ってきたという歴史の事実からすると、それは人間にとってある意味不幸なこととも言えるわけです。何でもできる中でいかに自制を働かせていくか、そんな皮肉な事態が今クリエイティブな現場に必要とされています。
子どもたちを見ていると、本当にいろいろなことにとらわれず、自由でいいなあと思います。できることの量は私たち大人の比ではありません。しかし、ある意味できることの質は私たち大人よりも高いのかもしれません。
ロドニーの最近の作品を観ても、基本的に Wonder Window と変わらないような気がします。これもよく言われることですけれども、いろいろな意味において、いつまでも子どもでいられることも、天才アーティストの条件なのかもしれませんね。
Wonder Window の中にただ鳥があっちこっち歩き回るというアニメーションがあります。どうも当時のメモリーではその鳥はスムーズに動かなかったようです。将来メモリーが安くなって、たくさん積めるようになったら鳥も動き出すでしょう、みたいなことが書いてあったと思います。
今となっては前世代の遺物のようになってしまったpismoにも、384MBのメモリーが積んであります。当然鳥はなんの苦労もなく右に左に動き回っています。10年後の子どもたちが、こんなにものメモリーを積んだMacを使うと、ロドニーは想像したでしょうか。
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