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2006.01.23

『電車男』劇場版〜ちょっとまじめに文化論

B000BDG2JO ああ、さすがに忙しい…と言いつつ、生徒が持っていたので没収して観ました。昨日の記事にも書きましたけれど、今年のセンターに『電車男』が出たんですよ。一応現代社会という教科にもかかわっている私としては、当然問題分析しなければなりません(笑)。途中、生徒の進学相談などなどに妨害されながらも、なんとか観終わりました。分析終了。
 予想したより楽しめましたね。ドラマ版があまりにも良い出来でしたので、こちらにはあまり期待していなかったんですが、充分及第点はやれますな。でも…
 山田くんがカッコよすぎなのと、2ちゃん独特のテンションがうまく表現されていなかったのは不満です。2ちゃん世界を知っている者にとっては、二人の恋愛模様よりも、2ちゃんの住人たちの中の性善と性悪の戦い…性善が勝利するわけですが…がテーマであったわけでして、そういう意味でもちょっと焦点がずれている感じがしました。しかし、まあそれは映画のマーケティングの結果として理解できないこともありません。映画的な演出もうまく行っていたと思いますよ。電車のホームでの演劇的シーンとか、取ってつけたような伏線だとか。
 中谷さんはどうなんでしょうねえ。そつなくこなしていたとは思いますけれど、ちょっと途中から私は引いてしまいました。電車をホントに子ども扱いしている。年齢的なこともあるのかもしれませんけれど、ちょっとあのキャラ設定であの積極性には、私は女性の恐さを感じてしまった。女性の可愛さではなかった。それが現実なのかもしれませんけど…。
 ここからは原作の分析?を再び。やはり原作というか、あのスレに神が降臨していたんだな、と。物語の神がネット上に舞い降りたのです。私の考えでは、「物語」とは「外部」を「内部化」することです。いつも言っているように、「モノ」とは「未知」であり「不随意」であり「変化」であり「無常」です。つまり受け手にとっての「外部」なのです。自分の思い通りにならない。それを「コト」…「既知」「随意」「不変」「恒常」つまり「内部」に変化させるのが「カタル」という行為です。
 平安時代の「物語(名詞&動詞)」の用法を逐一検証しましたが、どうもこのような意味で使われていたようなのです。現代的な感覚とはかなり違いますね。その私の考える本来の「物語」観からすると、『電車男』はまさに「モノガタリ」だった。語り手どうしも「モノ(お互い知らない)」、もちろんストーリー展開も「モノ(どうなるか分からない)」、また結果としてのストーリーも多くの住人にとって「モノ(自分には縁がない)」なわけですから。このような形の物語を文学と読んでいいかわかりませんが、とにかく新しい「語り」の形が提示されたという意味では、まさに神キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!であったのだと思います。
 いつも書いてます。「コト」に萌え(=をかし)を感じるのが「オタク」であると。しかし、『電車男』では、皮肉にもその「オタク」たちが「モノ」に一喜一憂し、いろいろな涙を流し、ため息をついた。「もののあはれ」です。私も今考えると、そこに感動したのでした。
 「モノ」と「コト」を二分法で説明することの多いワタクシですが、実は「コト」的世界の集積が時間の流れ、すなわち「モノ」的世界を形作るとも考えているのです。オタク個人は微分をしますが、実はオタクたち全体では大いなる積分をしているのではないか…とも最近思うのです。
 いろいろな歴史的な文化を見るに、どうもその時々は、みんなオタク的指向や思考や嗜好でやってたんじゃないかって。私たちは遠くにいるから、その集積の結果しか見えない、それを勝手に歴史とか文化とか呼んでるんじゃないかって。100年後、現代のオタク文化は間違いなく日本の伝統文化として語られるでしょう。そんなことを考えちゃいました。

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