『教祖誕生』 天間敏弘監督 ビートたけし原作・主演作品
たいへん勉強になりました。『真羅崇神朱雀教』、この団体が実在のどの団体をモデルにしているかはわかりません。いや、そんなことを詮索するのは野暮でしょう。手かざし系の団体なんていくらでもある。というか、釈迦もキリストも手をかざしている。そして私も(笑)。
そういえば昔、某手かざし系教団の幹部と手かざし対決したっけな。最後は秘義手かざし返しで、敵は悶絶、いえ号泣してました(笑)。その時は、おっオレって教祖になれるかも!って思いました。実際そう言われましたし。今思えば、あれは向こうの作戦だったのかも。危ないなあ、ひっかかるところだった。
この映画はそういう映画です。私が体験したことを萩原聖人が体験しているのです。いや、今までの全ての教祖が体験したことですかね。
記号論なわけです。教祖というネーミングが教祖を生む。ネーミングされ、コーリングされるうちに教祖が誕生する。それを実に明快に、象徴的に描いていました。
ビートたけしの原作は、実は読んでいません。しかし、彼自身が主演していることからも、また、北野武の片腕天間さんが監督していることからも、おそらく原作に近い形で映画化されただろうことが想像されます。そうすると、やはりたけしの鋭い視点というか、感性というか、本質を見抜いてしまう眼力というものをまざまざと見せつけられた気がしてきますね。
どこの馬の骨とも分からぬ「モノ」が、「ことば」や「衣装」や「秘義」というメディアを得て、自他ともに認める「ミコト」になっていく。ここでもまた「モノ・コト論」になってしまいますが、結局そういうことなのです。そしてその「コト」に群がる信者(=オタク)たち。実は宗教が「オタク文化」の原形なのです。ご存知でしたか?教祖とは、一種のキャラクター設定であり、フィギュア的存在なんですよ。
私から見ると(自分も含めてですが)宗教的感情というのは、多分に逃避の意味合いを含んでいます。現実逃避ですね。まさに「モノ的真理=生老病死など全ての変化」から逃げるわけです。口先の「永遠の命」なんてのは最上のトリックですよ。
その点、仏教はちょっと偉いですね。逃げないで向き合うことを勧めるんですから。つまり、あんまりオタク的でないんです、本来。まあ、勘違いして仏教をベースにオタクしちゃった「阿吽真理教」ってのもありましたけど(って今でもあるのか)。
ま、とにかくこの映画、全ての宗教団体の方々に見ていただいて、大いに笑っていただきたい。あっ、ウチも基本的にはコレだなって。笑えない団体は失格です。ウチは違う!なんて言ったら、バチが当たりますよ。いや、神様はそんな人(団体)にはバチも当てない…か(そんなようなセリフがあるんですよ。結局は当たってましたけど)。
私はこの映画を観て思いました。宗教団体作るなんてちょろいなって。そして教祖になるのもちょろいことだって。でも、ああいうふうな「金」派と「信仰」派の軋轢にさいなまれるのはイヤですね。どこにでもありそうなことですが、結局「金」も「神」も人間が創った記号に過ぎないんで、どっちも正しいし間違ってるんですよ。教祖としては、そのどちらにもつけません(笑)。
長くなりましたが、最後に。役者ビートたけしと玉置浩二、音楽の藤井尚之に感服いたしました。ものすごい才能でした。
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