『怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか』 黒川伊保子 (新潮新書)
いやはや、トンデモ本にもいろいろありますが、久々に不快感を味わわせてくれる逸品でしたなあ。ウワサ通りでした。分かっていても楽しむために読むのがトンデモ道の醍醐味ですが、これはいかん。
もしかすると、これはトンデモ本にもなっていないのかも。単に「痛い」本。
真のトンデモ本と言えば、例えば私がこのブログで紹介したキムタカのこちらやこちら。これに文句つける人はいないでしょう。つっこみは入れても。では、いったい怪獣の何がいけなかったのか。ちょっと考えてみました。
そう、文句をつけたくなるんですよ、黒川さんには。つっこみじゃなくて文句。キムタカと黒川さん、同じように自説原理主義で御都合主義。けれども何かが違う。黒川さんに対しては、例えば私のような輩でも、言語学や音楽の知識をもってしていちゃもんつけたくなるんですね。おいおいしっかり勉強してから書けよって。知ったかぶるなよって。もう少し客観的に自分の説を検証しろって。ある意味こちらが常識や見識や良識をふりかざす。そうしないといられない。ふりかざさないと、自分の常識や見識や良識が疑われる。キムタカに対してはそんな気は起きません。常識や見識や良識をふりかざないことが、自分の常識や見識や良識を守ることになるのです。
この違いは何なのでしょう。それはそう、ずばり筆者がイッちゃってるかどうかです。ある意味キムタカは天才と言えましょう。常識や見識や良識や論理や学問を超えて、そう「道」になっちゃってるんです。誰もマネできない独自の道をイッちゃってるんです。
黒川さんレベルの本を書けと言われればいくらでも書けます(書きたくないけど得意かも…)。キムタカレベルの本は書けません。お手上げです。
結局、黒川さんはイッちゃってないから「痛杉」。
な〜んて、ずいぶん毒舌吐きましたけど、実はちょっと黒川さんに親近感も覚えてるんです。カミングアウトします。
実はですねえ、私得意(特異)の「モノ」「コト」論なんですけれど、根本には「音のクオリア」(黒川さん的表現…茂木健一郎さん的ではありませんのであしからず)があるんです。
そう、イメージとしてのマ行音とカ行音との対比が研究の端緒だったのです。古語の助動詞について考えていた時、マ(バ)行音の「もやもや、ぼんやり」、カ行音の「かちかち、はっきり」のイメージが、かなりの万人に共通であるところに注目しまして、あえてそこからスタートしてみた…つまり、未来(推量・意志)の助動詞「む」と過去の助動詞「き」に、そのイメージをあてはめたというわけです。
もう、ここですでにトンデモになってるじゃないか!との声が聞こえてきそうですが、まあまあ落ち着いて。私はある意味キムタカを目指してますから。
で、もっとそれを推し進めて、「イザナミ」の「ミ」と「イザナキ」の「キ」や、「ヒメ」の「メ」と「ヒコ」の「コ」の対比(つまり女と男ですね)やら「モノ」と「コト」にまでイッちゃってるんです(キムタカに近づいてきたかな)。
それでも残念なことに、私にはまだ多少の常識や見識や良識がありますので、それなりに古典的な学問の手順を踏んでるつもりなんですね(ああ、またキムタカが遠のいた)。
というわけで、結局私も黒川さん同様、アカデミックにもトンデモになれないのかもしれません。でも「痛い」人にはなりたくないなあ。まあ、こうして半分ふざけて(防衛線張って)ブログという媒体に書いてるうちは大丈夫でしょう。金もうけしてるわけじゃないですし、布教してるわけでもないんで。
追伸 こちらのトンデモ本はけっこう有用でしたよ。
Amazon 怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 『宗良親王信州大河原の三十年〜東海信越南北朝編年史』 松尾書店(2025.05.19)
- 『皆神山オカルト学序説 -ピラミッド説・皇居移転計画・カゴメ紋解析-』 長尾 晃(2025.05.02)
- 『だっこがしたい足くん』 そうた (Clover出版)(2025.04.29)
- 追悼 大宮エリーさん(2025.04.28)
- 国語便覧(第一学習社)(2025.04.25)
「文学・言語」カテゴリの記事
- 岡崎市円山の神明宮と古墳群(2025.05.24)
- 古文訳J-POP(有隣堂しか知らない世界)(2025.05.12)
- 「ドアを閉めます」(名鉄)(2025.05.10)
- 能『杜若』(2025.05.01)
- 追悼 大宮エリーさん(2025.04.28)
「モノ・コト論」カテゴリの記事
- 地震と大相撲(2025.03.30)
- ハイデガーVS道元…哲学と仏教の交差するところに、はじめて立ち現れてきた「真理」とは?(2024.06.03)
- 文字を持たない選択をした縄文人(2024.02.14)
- スコット・ロスのレッスン(2024.01.12)
- AIは「愛」か(2024.01.11)
この記事へのコメントは終了しました。

コメント