『化粧をせずには生きられない人間の歴史』 石田かおり (講談社現代新書)
いきなり職場や自宅に電話がかかってくるずうずうしいセールス、あれはヒマな時には楽しいもんです。やつらを撃退するのは、宗教団体と戦うのと同じくらいエキサイティングです(笑)。いや私は遊んでいるではありません。彼らを救うためです。
最近の武勇伝?は、某関西の不動産投資系(マンション経営ってやつですね)との電話戦ですね。40分くらいやりあったんですけど、最初の新人は全然相手にならず、上司に替わってもらってからが面白かった。まあ、私は正論を重ねただけなんですが、向こうはなんか逆ギレしやがって、最後は面白かったですよ。だって、その上司、「もう、電話切りますよ!私にも電話を切る権利がある!あなたとは話をしたくない!」…それでオレ、「ちょっと勝手に電話切らないで下さいよ。もう少しお話しましょう」…って、普通逆じゃない?せっかくその人のためを思って話してたのに(笑)。
あと、しつこいけど面白いのは、某C出版系(別名もいろいろある…教材ですな)と化粧品系ですね。サンプルも含めていい味出してるのは、某F化粧品ですね。
で、やっと本題。化粧です。この前授業の中で、相撲と化粧の関係について雑談したんですが、話しながら男の化粧文化についてもうちょっと知りたくなりまして、学校にあったこの本を取り出してきました。
と思って読んでみたら、なんか違うなあ、という感じ。力士の化粧の話は全く出てきません。だいたい、化粧の定義を広げすぎていて、私の興味とは焦点が合いません。筆者自身、こう宣言しているんで、それはそれでいいんですが。
『私自身はいつも、「化粧」を最も広い範囲、「人間の身体を加工する行為」としてとらえています』
結果として、「入浴」から「歯磨き」「髭剃り」、「スキンケア」や「入れ墨」「抜歯」「割礼」「整形」、さらには「ダイエット」まで含まれるわけで、たしかにそうした視点もありだと思いますけれど、タイトルに惹かれて手に取った人の中で、私のように、あれ?と感じた人は少なくないのでは。
たしかに全体的に「へぇ〜」というエピソードが満載で、雑学おしゃれ編としてはなかなか楽しい本です。しかし、ただそれだけと言えばそれだけで、ちょっと物足りなさも残ります。
私が期待したのは、「化粧」はあくまでも顔貌のメーキャップとしてとらえ、その性的な意味と呪術的な意味、またそれらにおける演劇性・記号性などについての記述だったんですけれど。その上で、力士の化粧について考えたかったのです。ま、それは違う本を読め、あるいは自分で考えろってことですかね。
ちなみに私が化粧をするのは、芝居やコントや歌なんかで舞台に上がるときですね。これはいわゆるペインティングであって、コスメとは違います。コスメティックはコスモ、つまり「秩序」でありますが、私のペインティングは「秩序の破壊」による笑いを生みます。「カオスティック」…なんて言葉はないか。
最後に、「化粧をせずに生きられない」理由が結局はっきりしないのはどうかと思いましたが、化粧には「自己隠蔽」と「自己解放」の二面性があるという筆者の言には納得させられました。
Amazon 化粧をせずには生きられない人間の歴史
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