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2005.12.01

『国家の品格』 藤原正彦 (新潮新書)

4106101416 数学の先生からお借りして読みました。いやあ、わが意を得たりって感じで、あっという間に読んでしまいした。痛快でしたね。つまり私もこういうスタンスの人間だということです。どちらかというと保守であり、なんとなく右派。
 昨日、本屋さんでまず最初にこの本に目が留まったんですよ。でも、持ち合わせがなかったので、また今度と思って、昨日の「生き方」の即読に行っちゃったんです。そういう意味で実にタイムリーでした。ありがたや。
 『祖国とは国語』でもかなりの嫌米愛日(?)を発揮されてましたが、こちらもものすごいですねえ。以前、当地方に講演にいらした時も、かなり刺激的なお話をされたとか。私は残念ながらうかがえなかったのですが、この本を貸してくれました先生(でありお坊さんでもある方)が会場で取ったメモを見せていただいただけで、かなり萌えちゃいました(笑)。
 鈴木孝夫大明神もそうですし、一昨日のグロータース神父も、またある意味昨日の稲盛和夫さんもそうかもしれませんね、日本の伝統に誇りを持って、大切にして、それを武器に世界の長たれ!と。キリスト教原理主義、自国至上主義、市場経済至上主義、論理至上主義のアメリカにへこへこするな!と。私も全く同感です。
 この本の帯には、「すべての日本人に誇りと自信を与える画期的日本論!」とありますが、実は全く画期的ではなく、まことに伝統的、常識的でまっとうな論が展開されています。いや、そういうものが画期的と称されて評判になるほど、世の中が非伝統的、非常識的になっているということですか。
 作家新田次郎、藤原ていの息子であり、世界的な数学者である藤原正彦さん。もうこういう紹介だけでも、この方の並外れた才能と人間性が予感されます。そして、実際その予感通りの大人物なのですが、そんな方が力説するのは、実にシンプルな論です。
 まずは「近代的合理精神」「論理」「自由」「平等」「民主主義」など、今世界のスタンダードになりつつある概念には限界があることを述べます。ご自分の経験をもとに。特に「論理」の象徴であるご専門の「数学」の限界を語る部分はなかなかの迫力です。大明神様もそうでしたが、ご自分のご専門の原理主義に陥らない、いやそれどころか、その対象にダメだしできる方の論は説得力がありますね。かっこいい。
 そして、その代わりに何を大切にすべきか。それは「情緒」であり「形」であり、「惻隠の情」であり「もののあわれ」であり…つまりは日本古来の心、特に「武士道」であると。「卑怯を憎む心」であると。
 このような意見を正面切って言われますと、だいたい反応する方は二手に分かれますね。「そのとおりだ!」と「あぶねえなあ、このおやじ」です。それは当然でしょう。この違い、究極的には、「ダメなものはダメ」「いいものはいい」という「理屈を超えた強制」を受け容れられるかどうかの違いのような気がしてきます。それだけのキャパがこちら側にあるかどうか。「論理」や「自由」なんかで武装しなくても立っていられるか。
 私は勇気がないので、「そのとおりだ!」とは叫べない、ずるい人間なのですが、「あぶねえなあ、このおやじ」とはとても思えません。やっぱり萌えます(一人静かに共感する)。
 最近、生徒たちに「武士道」の話をしたんですよ。昔の仮面ライダーに登場したショッカーは武士道を踏襲している、って。ゴレンジャー以降の戦隊ものが多対一の卑怯ないじめを生んだとか。セーラームーンに至って、ついに日本男児の武士道は完全死滅した、とか。私はまじめに論じたんですけどねえ、生徒は笑ってました。やっぱり「武士道」は死んだのでしょうか。まあ、私自体「萌え」なんて言ってるようじゃダメですね。何度も言いますが、「萌え」は「をかし」であり、「もののあはれ」ではありません。武士道の美学ではない…。
 ところで、本筋からは少し離れる「萌え」になりますが、「美の存在」のエピソードとして登場したインドの天才数学者ラマヌジャンに興味をおぼえました。ちょっと関係の本など読んでみようかな、と思いました。
(というわけで『天才の栄光と挫折−数学者列伝』読んでみました)

「国家の品格」が売れる理由…

「この国のけじめ」もどうぞ

藤原正彦氏講演会

Amazon 国家の品格

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コメント

はじめまして。
「国家の品格」で検索してこちらにたどりつきました。

>「理屈を超えた強制」を受け容れられるかどうかの違いのような気がしてきます。<

同感です。
TBさせていただきました。

投稿: robita | 2005.12.21 08:36

TB&コメントありがとうございます。
robitaさんの記事も読みました。まったく同感です。
私も妄想の中で憧れます。しかし実生活は…。
ただ、そういう憧れを忘れたら、ホントもう終わりです。
私もTB打たせていただきますね。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2005.12.21 08:46

本書はおおむね賛成ですが、保守派というよりやや左翼寄りと感じました。
「愛国心」という言葉は手垢に汚れているとか「日中戦争は日本の汚点」だとか。

国家の品格だけで日本が防衛できると思いますか?
武士道精神は強い中国を挫き弱い台湾を助ける、中国に掻かされた恥(反日デモ、領海侵犯その他)には反撃するのがほんとうです。

投稿: ponko | 2006.01.02 02:02

ponkoさん、コメントありがとうございます。
私は反日勢力ではありませんので斬らないで下さいね(笑)。
この本はそれこそ情緒で読む物で、現実的な政治の問題は別でしょう。
私もそれくらいは分かりますよ。
ただ、国民の「気分」を創るのは文学の仕事だと思ってますから、
この本の影響力に期待もし憂慮もします。
そして、稀代の政治作家である現首相にも。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2006.01.02 09:27

がんばれ!日本代表。23人の侍たち。

ぼくたちは遠く離れた祖国日本の空から

この歌を贈りたい 

「ふるさと」

 兎追いしかの山 こぶな釣りしかの川

 夢は今もめぐりて わすれ難き ふるさと

 いかにいます 父母

 つつがなきや ともがき

 雨に風につけても

 想いいづる ふるさと

 志を果たして いつの日にか

 帰らん

 山は青きふるさと 水は清きふるさと


君たちは独りじゃない

明治維新の志士たちの原動力になった

吉田松陰の辞世の句

身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留め置かまし大和魂

最後まで諦めず正々堂々と戦ってください

その姿を多くの次の世代が見守っています。

この投稿に共感してくれる方があれば

ぜひこの輪を広げてください。

ドイツのスタジアムに「ふるさと」の

大合唱を響かせることができないでしょうか。

本当の日本の戦い方を世界に見せることがでいきないでしょうか。

よろしくお願いします。

投稿: 青龍物語 | 2006.06.15 11:28

はじめまして!こんにちは!
内容が面白かったので、無名ブログながら記事掲載させていただきますm(__)m
なお、ご不明な点がございましたらTOPページの前書きへどうぞ。

投稿: 涼微 | 2006.12.11 10:06

涼微さん、引用どうもです。
いやあ、もうこの記事を書いたのは1年以上前ですよ。
その時はここまでブームになるとは夢にも思いませんでした。
これは非難を浴びるな、と思ったものです。
ですから、私はややシンパな書き方をしたんでしょう。
というわけで、いつまで人気記事にランクインするやら…。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2006.12.11 13:44

この本ってそんなに前から発売されてたんですね。
なんとなく頭の片隅にはあったんですけど、
実はまだ読んでないんですよ。
それで、下調べしてみたんですけど、今のところ自分は内容には批判的ですね。
近々読んでみます。
長文&連投すいませんm(__)m

投稿: 涼微 | 2006.12.11 23:41

5月で200万部突破とか言ってましたからね。
信じられないほど売れました。
私はいろんなところで言ってますけど、
この本は笑いながら読むべき本ですよ。
詳しくはこの記事のリンク先を読んでみてください。
賛成にしろ反対にしろ、冷静になれはなるほど笑えますw
かわいいっす。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2006.12.12 06:41

TBさせていただきました。

大変興味深く読みました。
ベストセラーは、何かと批判の矢面に立たされます。
他のブログでは厳しい批評ばかりで残念です。

投稿: タウム | 2006.12.14 21:05

タウムさんどうもです。
そう、この本に限らず藤原さんの御著書は笑い飛ばして納得するものですよ。
みんな真面目すぎるのか、本当の楽しみ方を知らないようです。
というか、みんな自信がないから攻撃的になるんですよ。ハハハ。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2006.12.14 21:20

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