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2005.12.22

『キッズ・リターン』 北野武監督作品

B00005EDS2 今日の補習で鑑賞。テーマは色(青と赤)の記号性と「もののあはれ」。まあ、なんとでも言えますな。
 そう言えば、金子賢が大晦日のPRIDE男祭に出場するんですよね。この映画を観る限りは安藤政信の方が強そうだけど(笑)。あっそうそう、昨夜ある教え子から電話があり、彼もPRIDEに参戦、いや出演するそうです。詳しくはナイショですが、すげーな。当日のテレビで拝見しましょう。
 さて、この映画ですが、私にとっては北野映画のベストです。ダントツです。他の作品も嫌いではありませんし、世界のキタノの作家性は人並みに認めているつもりですけれど、やっぱりなあ、この作品は、無常観というか「もののあはれ」というか、そう日本映画の伝統的なテーマを、非常に模範的な方法で描いたという意味で完璧に近い作品ですね。何度観ても心にしみる。決して「萌え(=をかし)」ではありません。
 俳優としてのビートたけしが出演していないというのも、この映画に関しては功を奏したと思います。その代わりと言ってはなんですが、二人の新人、金子賢と安藤政信の魅力はたまりませんね。このはかなく切ない若さの魅力を引き出し、フィルムに焼き付けた北野監督の手腕と感性は、ほとんど奇跡的、天才的と言えます。おそらく、例のバイク事故で幽明の界をさまよったことが大きく影響しているのでしょう。「青春」という最も生命の輝くとされる時、そこにあえて翳を投じたことが作品にリアルさ、普遍性を与えたのだと思います。
 ものすごく簡単に言ってしまうと、これは般若心経の世界観です。自分という存在も、また運命というものも、結局は他者との「縁」によって変化するものであり、安定した恒常なるものではない。青春時代は、確固たる自分を形成しようともがく私たちを、残酷にも裏切ります。色即是空。そこで終わってしまっては単なる悲劇でしかない。しかし、北野監督はラストに見事なシフトチェンジを見せてくれます。空即是色です。
 おそらくは、監督自身の命の揺らぎが、そういう表現を可能にしたのでしょう。感動的です。
 そういう意味で、この映画は、私にとって本当の「物語」です。無常観を表す「もの」についてメディアを通して語ったわけですから。
 一つだけ、ホント一つだけ自分の趣味に基づいて苦言を呈しますと、久石譲の音楽がちとうるさい。私にとっては軽すぎて耳障りです。あれがいいという人が大多数ですので、私が変なのでしょう。
 さて、最後に余談ではありますが…この作品で天才ぶりを遺憾なく発揮した安藤政信くんとですねえ、私の姉なぜか縁がありまして、いろいろと話を聞いているようです。う〜む、うらやましすぎる!北野監督は本当に近づき難いオーラが出てるとか…。そうだろうなあ。
 ついでにうらやましい話。冒頭に書いたPRIDE参戦?の教え子、「座頭市」にも出てます。いいなあ〜。も一つついでに、例の教え子「浮世絵師」、この前「北野名鑑」に出てましたね。こっちもたけしさんと仕事かあ。すげーな〜。うらやましいなあ。

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