『倫理―大学受験らくらくブック(新マンガゼミナール)』 清水雅博著 鷲野鷹哉画 (学研)
高校生用ながら、大人にも役立つシリーズ第4弾!(かな?)…というか、これは生徒が持っていたのを見て、あんまり面白いので自分で買ってしまったのです。
いちおう高校時代倫理社会も勉強したはずなんですけど、当時はこんなに面白い分野なのにその魅力が全く分からず、どちらかというと苦手教科だと思い込んだりしてましたっけ。
なんで倫理という名称を用いるのでしょうねえ。いわやるエシックスとは違う内容ですよね。宗教・哲学・思想とかすればいいのに。
フツウの社会生活を送るには、実はこういう宗教やら哲学やら思想やらは必要ありません。私は小論文や現代文や現代社会を教える際にちょっと必要になりますから、表面的には勉強しなければなりません。そんな時、こういう軽めのものは実に役に立ちます。
とにかく、一番つかみどころのない世界を、子供用にポップにマンガ化してくれているわけでして、イメージ化しにくいものをイメージ化して覚えるには最適ですね。特に私が笑ったのは、鎌倉仏教の部分です。
鎌倉仏教の高僧たちが、「居酒屋仏」で合コン?してるんです。で、みんな言いたい放題。次のセリフはそれぞれ誰のものかわかりますか?なんてテストみたい。いやこんなテストはないか。
「南無阿弥陀仏。俺たち、鎌倉新仏教の開祖」
「ニューウェーブってとこかな。ところで、君って悪人?」
「Hey!クールに踊ろうyo」
「南無妙法蓮華経。諸君、うるさいぞ!」
「まぁまぁ、坐って坐って」
「僕はさ、自分のことは自分でやれる娘が好きなんだよね」
面白いでしょ。答えは…。まあいいですね。とにかくこんな感じなんですよ。ふざけるなっ!っていう人もいるかもしれませんが、まあ鎌倉新仏教なんてしょせん当時の新興宗教ですからね。子供向けのマンガですし。
で、この合コンでは、それぞれが自己紹介していくんですけど、日蓮は例によっていつもの?調子です。「何度でも徹底的に批判する!」てな具合で。それをまわりの坊主たちは「あーあ…はじまった…あぁそうですか、そうですか」と。なんかリアルだな。
こんな調子で、古今東西の宗教や哲学や思想なんかをわかりやすく説明してくれています。分野によってはおちょくりきれてないところもありますが、全体としては「まじめ」に感心しつつ、ちょっと笑っちゃうという雰囲気が出ており、教材としてもなかなかスグレモノですな。私の姿勢に似ている。
倫理をセンターで使う高校生さんにもですが、実はこのあたりがよく分からないんだ、という大人の方々にもおススメいたします。
Amazon 倫理―大学受験らくらくブック
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