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2005.11.13

トップランナー 『矢野沙織』の悟りとは…

B000BKJG04 たまに観てはだいたい落ち込まされる番組。NHK教育のトップランナーです。昨日も書いたように、ハイビジョンチューナーがぶっこわれまして、久々に地上波を観ております。そして、これ。また落ち込んじゃった。
 矢野沙織さんについては、こちらでも紹介しました。まあ、天才少女…もう19歳、すっかり大人っぽくなってました…ですね。
 で、今日の番組で、どういうところが天才なのか、よ〜く解りましたよ。なるほどなあ。例えばこんな言葉。
 「クインシー・ジョーンズと共演したい」
 「キャノンボール・アダレイを超えたい」
 「グラミー賞を獲りたい」
 普通の19歳がこんなこと言ったら、バ〜カで終わりですよね。しかし、彼女は真剣に、いや純粋にそう思っている。そして、その夢…彼女にとっては単に欲望のようですけれど…に向かってひたすら行動する。
 上のとんでもない三つも、もしかしたら可能かもしれません。彼女には音楽家としての才能というのも充分認められますが、やはりそれ以上に、天才としての素質、すなわち「バカ」な部分も生まれ持っていると見ました。「バカ」とは馬鹿にした言葉ではないのは言うまでもありません。天才バカボンの「バカ」です(?)。
 世間の常識やら、大人の常識やらにとらわれることのない、希有な能力ですね。これは天才には必須のファクターです。だから、歴史上の天才は、「子ども」だったり、「非常識」だったりするわけです。まさにバカボンのパパ。
 「そんなの無理だよ」と思ったら、そこでもう終わっている。これはよく言われることでありますが、考えてみると、自分についてそう思うだけでなく、他人のそうした夢(欲望)に対して、「そんなの無理だよ」と余計なアドバイスをする常識的な大人がたくさんいますよね。自分のことをあきらめた瞬間から、他人にもあきらめをすすめる、とんでもなくいやなヤツになってしまう…。
 先生なんて職業をやっていると、そういうことが多くなると思います。それが仕事だと思っている人もいる。そういう先生も必要かと思いますよ。「あきらめろ」と言われてあきらめたら、まあそこまでの能力だったということになりますし。しかし、私はやっぱりそうはなりたくない。そのためには、いつまでも非常識なバカであり続ける必要があるのです。
 難しいですね。教師としても親としても。また、社会人としても。いや、それ以前に自分自身に対する「あきらめちゃえ」という甘い誘惑と闘うのが大変。
 今日は大月市にある浄土真宗のお寺でコンサートをしてきました。そのお寺の山門にこう書いてありました。
 「自慢は智恵の行き止まり」
 ここでいう自慢は、仏教用語としてとらえるならば、我慢と一緒。もちろんこの我慢は悪い意味です。「慢」は煩悩の代表格。自慢は自己に対する慢心。智恵は縁起の法を知ることですから、つまり、慢心すると、自分以外の全てに生かされていることを知り得ないということでしょう。
 自分の欲望のまま突っ走る矢野沙織さんは慢心しているのでしょうか。私は違うと思いました。逆だと思いました。非常に謙虚なのです。実際これまでの共演者に対する感謝の気持ち、また和製キャノンボールと呼ばれることに対しての違和感、そんなところに、彼女の智恵を見ました。もちろん、現状で満足しない、つまり常にあきらめないという意味でも、慢心していません。自分はまだまだだと。
 今日もまた、若い人に学んでしまいましたね。ありがたいことです。しかし、こんなありがたいことで落ち込んでる自分って…。

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