ウルトラマンマックス第22話 『胡蝶の夢』
今日はこれを語らないわけにはいかないでしょう。しかし、いざ語るとなると、なぜか緊張する…。
実相寺昭雄。私が最も影響を受けたクリエーターの一人でしょう。すでに退官されましたが、東京芸術大学の教授という肩書きを持っていた方です。しかし、この方ほど、その肩書きが無意味に響く人物はいませんね。普通だったら、しっかりブランドであり、称号であり、名誉であるはずですが。何気なくそれを身に着けていた彼もすごいですが、彼にそれを着せた日本芸術界も捨てたもんじゃない。
今日のウルトラマンマックスは、その実相寺昭雄さんの監督でした。彼が創るものは、それが子ども番組であろうと、オペラ作品であろうと、CMであろうと、あるいはAVであろうと、いわゆる実相寺ワールドになってしまう。その技法がたとえ毎回同じものをベースにしていようと、やはり全てが実相寺色になるというのはすごいことです。究極のワンパターンなのかもしれませんが、それを一生続けることこそ、「芸」であり「術」であると思います。迷いがない。いや迷っていた、あるいは迷っているのかもしれませんが、その迷いをも新しい表現にしてしまう、強固な個性というものが彼には備わっているのです。
今日の作品は、荘子の「胡蝶の夢」をモチーフにした脚本を演出したものでした。夢の世界は実相寺さんの得意とする分野。何が現で何が夢なのか…そうした、芸術家ならば必ずぶつかる問題を、まさに制作現場を舞台に上手に料理していました。押井守さんと似た感性と方法論ですね。
作品としては、結局なんだか解らない。子どももポカ〜ンとしていましたが、それこそが彼の狙いであり、彼自身の創作活動の幹となっているものそのものです。土曜日の早朝、子どもも親も一つの現実から逃避する、そのスタートとなる時間帯。そこに現代の「おおまがとき」を現出させるわけです。私の家族など、すっかりその毒気に当てられて、いろいろあったイベントを全てキャンセルして、一日中寝てました(笑)。完全に実相寺監督の術中にはまりました。
マックスは原点回帰を標榜して、ここまで快走を続けています。今回も、金城哲夫や高山良策、冬木透、さらには石橋蓮司など、我々父親世代には懐かしくも恋しい方々がちりばめられておりました。しかし、ただ、昔を懐かしんだり、過去の栄光に依存したりするだけでなく、若いクリエーターたちもそれに負けじと奮闘している姿が目に浮かびます。過去の遺産とこうしてがっぷり四つで闘う。そして、その遺産を創った人たちも実際そこに参加して、文化や精神を継承する。これはある意味理想的な現場の姿であると思います。
あと、やはり実相寺監督のちょっとしたいたずら心が良かった。ドリフあり、「ウルトラマンがチョコの中♪」あり。まさに「古今東西硬軟聖俗なんでもござれ!」であります。うん、やっぱり好きだなあ実相寺昭雄先生!
(ちなみに私のベスト実相寺は「アリエッタ」です。これはちょっとここではおススメできませんなあ…脚本も演出も役者さんも音楽も絶品なんですが)
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