ウルトラマンマックス第15話 『第三番惑星の奇跡』
ブッシュに見せたかったなあ。今日のウルトラマンマックスは名作でした。泣いてしまった。いかんいかん。
こういうメッセージ性のある作品こそ子どもたちに見せたい。いや、それ以前に大人たちに見せたい。特にブッシュを代表とするキリスト教原理主義連中に見せてやりたい。正義の名のもとに異物を排除する。そのための手段は暴力。結果として相手も暴力で応じることになり戦争を生む。そこには憎しみしか残らない。
今回の監督さんは三池嵩史さん。極道映画で芸術性とメッセージ性を追求する個性的な映画監督さんですね。最近では「着信アリ」や「妖怪大戦争」で新境地を開きました。脚本はNAKA雅MURAさん。三池監督と「岸和田愚連隊」シリーズなどでタッグを組んでいる方です。そんなわけで、今回のマックスは、たった二十数分の作品とは思えないほど、充実した内容になっていました。さすがです。
簡単に言ってしまえば、今回登場した怪獣イフは、相手の攻撃を全てそのまま返すヤツでして、人間からミサイル攻撃を受けると、ミサイルを発射するように進化し、マックスから攻撃されるとマックスの攻撃力を全て取り込んでしまうという厄介者。結局、そうして身につけた武器によって、イフは街を焼き尽くします。そしてもう誰も攻撃できません。当然ですね。
前半は、画家を目指していたのに失明してしまう少女のストーリーもあって、徹底的に救いのないドラマが展開します。また、ミニチュアの造型やCGの演出も効果的で、非常にマイナス方向の見ごたえがありました。けっこうやばい描写が多かった。
結果としては、その少女の奏でるピッコロによって、イフは美しい楽器の集合体?に進化してめでたしめでたしになるわけですが、その過程での演出は、明らかにキリスト教を意識したものでした。燃えさかる街には無数の十字架がありましたし、少女の傍らには汚れたマリア像が倒れていました。そして、音楽によって癒されたイフの頭部は美しいマリア像そのもの。つまり、本来のキリストの教えを忘れた一部の原理主義者(歴史的に見ると一部ではないかもしれませんが)に対する強い非難を読み取ることができましたね。
人と人の関係は単純に「鏡」です。怒りには怒り。憎しみには憎しみ。愛には愛。慈しみには慈しみ。笑顔には笑顔。そんな単純なことも分からない人間って本当にバカものですね。イエスもブッダもただそのことを語っているのだと思いますが。結局、後人の解釈の誤りなんですよね。いったい誰だ?パウロか?日蓮か?
ところで、イフを癒した音楽、それは具体的にはショパンの別れの曲でした。ショパン自身も「最も美しいメロディー」と語っていますが、たしかにこの名旋律は全宇宙レベルでの真理のひとつかもしれません。
まあ、とにかくあれもこれも含めて、本作品は一度観ることをおススメします!
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