『「脳」整理法』 茂木健一郎 (ちくま新書)
私の大好きな言葉に「セレンディピティー」というのがあります。高校時代でしたか、国語の課題図書で読んだ、外山滋比古さんの『ことわざの論理』で初めて知った言葉であり概念であったと記憶しています。だからもうこの言葉を意識して四半世紀ということですか。
セレンディピティー、「思わぬものを偶然に発見すること」ですね。そこから発展して「幸運を呼び込む力」という意味でも使われているようです。私がこの言葉を好きな理由は実に簡単。自分の人生の9割はセレンディピティーで構成されており、そのおかげで大変楽しい思いをさせていただいているからです。私にとっての神様は、このセレンディピティーなのかもしれない、と思うほどです。
昨日の早朝、NHKで茂木健一郎さんがこのことについて語っておりました。ノーベル賞のシーズンということで、そういった世界的な発明や発見が、実はほとんどセレンディピティーによるものであるとのこと。そして、そのような幸運に出会うには、まずは行動しなければならないとのこと。全くその通り。そして、近視眼にならず、何かに気づくこと。茂木さんのおっしゃる「アハ体験」ですね。
この本は、必然と偶然の中間に浮遊する「偶有性」の話題を中心に、最先端の脳科学から見た人間の認識や意識について書かれています。言葉の問題を考える私にとっても、なかなか興味深い内容でして、あっという間に読んでしまいました。やはり、脳は「もの」を「こと」化するマシンなんですな。ただ、その「こと」化には偶然性も強く関与していると。しかし、究極的には、セレンディピティーが訪れる確率を上げるためには、行動(つまり努力)が大切なわけです。人事を尽くして天命を待つ。そういうことですね。
あと、個人的な体験に基づいて申しますと、セレンディピティーに期待することも大切なような気がします。ある意味他力本願ということです。自分が自分が、ではなく、「なにものか」に期待するということも必要ではないでしょうか。私はそっちにばかり期待していて、努力不足なのですが。
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