ヨーヨー・マ&コープマン 『シンプリー・バロック』
Yo-Yo Ma Ton Koopman Amsterdam Baroque Orchestra 『Simply Baroque』
昨日のおススメとちょっと似た部分があるのかもしれません。ボーダーレスというかジャンルを越えるというか。だから、評価もジョン・ルイスの場合と同じような感じですね。私は純粋に好きですが。
さて、ほめられたり、感心されたり、じゃまだ!と言われたり、ヨーヨー・マもこのブログでは大変です。でも、基本的に私は彼の姿勢や音楽を心から敬愛しています。ちょっと嫉妬するほどです。
このシンプリー・バロックは、彼が初めてバロック・チェロに挑戦した作品です。自らの愛器ストラディヴァリをバロック・スタイルに改造、いや復元して臨んだという気合いの入りようにまずは感激。そして、名手ヤープ・テル・リンデンの手ほどきを受け、見事に古楽器の語法を身につけてしまう、相変わらずの柔軟性と謙虚さに感服。「ボウイングと音程がとても難しかった」というマの言葉になぜか感動してしまいました。
しかし、最終的にはそんなことよりも、展開される音楽の豊かさの方が素晴らしい。結局、楽器とか様式とか語法とか、そんなことはどうでもよくなってしまう。そんなことに依存しない、そんなことを超越する、強靱な音楽が存在します。ふだん、楽器とか様式とか語法とかに蘊蓄を並べる自分に嫌気がさしますね。
そうしたスケールの大きさは、ボッケリーニのコンチェルトに最もよく現れています。ボッケリーニをバロックと呼んでよいかどうか…なんて蘊蓄も野暮です。いやはや、ボッケリーニがこんなに豊かな音楽だったとは。ビルスマの演奏も良かったけれども、こっちの奔放さの方が音楽の質に合ってますな。
あと、何と言っても、バッハの曲たちでしょう。あえて、オリジナルではなく、コラールや有名な器楽曲の編曲版を演奏しています。これはパラドックスですね。実は正しいということです。楽譜の絶対性が低く、その場の事情で編成が変わったであろう当時の習慣や、バッハ自身の編曲活動を考えれば、全然不自然なことじゃないんですよね。やられた!と思いました。やはりコープマンという人の、あの懐の深さもあるでしょうね。バッハの弟子を自認する彼です。自分がバロック時代に生きていて、そこにものすごいチェロの名手がいたら、こんなふうに師匠の名曲を編曲したかもしれない。そういう発想でしょう。ちなみにボッケリーニでも通奏低音としてチェンバロを弾いてますが、けっこうやりたい放題で気持ちいい。楽しいですよ。
うん、これはいいアルバムだ。ぜひもっともっとこういう企画のCDを出してほしいですね。
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