BSアニメ夜話『うる星やつら』
Mr.Oshii
今日は授業で『ビューティフル・ドリーマー』を観賞。押井うる星の魅力を満喫させていただきました。そして、夜11時。NHKBS2のアニメ夜話でうる星が取り上げられました。
限られた時間の中ですので、当然消化不良の部分もありましたが、なかなか興味深い内容でありました。
私など、うる星歴たったの1年でありながら、こちらでずいぶんと語っちゃってますね。そんな調子ですから、ホンモノのファンの方々には、それぞれ自分のうる星観があって、それこそ何時間でも語り続けられると思います。つまり、それだけのコンテンツがつまっていたということですね。作り手の創造力と想像力が半端ではなかった。
今日の夜話でも、そのあたりのことを垣間見ることができました。キーワードは「おまかせ」と「暴走」と「戦い」です。作画もアフレコも「おまかせ」。まかせられた人たちは手を抜くどころか「暴走」する。そして、それぞれの現場で、またそれぞれの現場どうしで「戦い」をくりひろげる。そうして、どんどん全体のレベルが上がっていくわけです。
これは、ちょうど昨日紹介した『ジャズマンと老師の問答』に通じる世界ですね。いや、そのものと言える。創造の現場、いわば生命の現場としての実相です。流れに乗るためにドアをこじあけ、せめぎあってわくを取っ払う。その結果全体が成長する。自分も成長する。その結果は想定外、予想外。縁によって生命のパワーが増す。魅力的な作品が生まれる瞬間です。
「おまかせ」「暴走」「戦い」…一見よからぬ言葉のようですが、それを演ずる個人の心の持ち方次第では、とんでもないプラスのパワーを生み出します。「おまかせ」するには謙虚さと信頼と勇気が必要です。それを受ける方も、そこでくさらず意気に感じる、いやヤケでもなんでも「やったるで〜」とならねばなりません。そして、あいつらには負けたくないという気概。
最近強く思うんですよね。イヤだなあ、冗談じゃないよ、マジかよ、ということが自分を成長させるんだと。自分の心地よい時間、つまり自分の想定内の出来事って、結局それまでの自分という範疇の中のことであって、なんにもプラスになってないんですね。外からの強制力…まかせられたり、戦いに巻き込まれたりしないと全然前進しないんですよ。そういう意味で、私は最近とても幸せに感じることが多いんです。楽しいことが多いんです。
押井守監督はその「おまかせ」「暴走」「戦い」を実践した方だったのだと思います。また、スタッフにもそれを許したんだと思います。その結果、たぶんご自身たちも想像しなかったような名作や問題作がどんどん生まれたのでしょう。現場の千葉繁さんのコメントからも、そんな雰囲気を感じることができました。
そう考えると、宮崎駿ってオーケストラの指揮者みたいだなあ。私は押井アンサンブル、押井バントの方がなんとなく好きです。
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