唐澤まゆこ 『アントワネット パリからの絵葉書』
mayuko karasawa 『Antoinette』
iTMSでポップに分類されてるからビックリというか笑っちゃいました。アイドル路線で売り出し中って感じですね。なんか日本の音楽業界って安易…な〜んて、いいことだと思います!アイドルは必要です。私はアイドル万歳派ですから。
いやいや唐澤さん、バリバリ、いやパリパリ?の古楽人なんですよね。コンセルヴァトワールのバロック科首席ですから。レザール・フロリサンでフランス・バロック・オペラなんかパリパリに歌ってます。そちらの録音はないのかなあ。聴きたいんですけれど。
このいかにもアイドル系を感じさせるジャケット写真、うんまさにマジックだ。いや失礼。そのジャケットの雰囲気とは裏腹に、中身はけっこう通好みになってます。選曲もなかなか魅力的ですよ。有名曲もありますけれど(「枯葉」まで入ってる)、けっこう渋い曲も。だいたいマリー・アントワネットがシンガーソングライターだったとは知らなんだ。
そして、何と言っても伴奏が曲によってはケネス・ヴァイスのフォルテ・ピアノですからねえ。ものすごくいい響きです。歌唱もバロック仕込みの清澄なトーンですし、正直よく分かりませんがフランス語もとっても美しい。そう、フランス音楽の良さがよく現れた演奏だと思います。
意外な収穫はやはりマリー・アントワネット作曲の2曲でしょう。なかなかチャーミングな作品です。どこまで彼女自身が作ったのかは疑問ですけれど、それなりの才能はあったようですからね。グルックに音楽を習っていたとか。クラヴサンの腕前もなかなかであったと聞いています。いずれにせよ、憎悪にまみれ非業の死を遂げた女性の歌曲としては、なにか異様なほど平安に満ちた音楽です。そこがなぜか恐い。恐い美ってありますよね。
さて、唐澤さんは今年、日本の歌曲のCDも出しました。こちらは試聴しかしていませんけれど、ちょっと中途半端な出来のようです。日本の歌曲は西洋風に美しく唄えばよいというものではありませんし。アレンジも今風でよいのか。たいへん難しいですね。なんとなく日本語もフランスなまりに聞こえるのは気のせいでしょうか。それでもよくあるベルカントの日本歌曲よりはよっぽどいいと思いましたよ。
Amazon アントワネット なつかしい未来〜日本のうた
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