なまはげ館〜正直、泣けた!
今日はキリストの墓参りを果たそうと思ったんですけどね。残念ながら、子守を仰せつかりまして、急きょ予定変更して横手市で一日過ごしました。さすがに娘たちを青森県新郷村に連れていくのは…。渋すぎます。
というわけで、本当なら横手のふるさと村の話でも書くべきなのですが、あんまりネタがないので、ちょっとフライングして、明日のことを書きます(?)。つまり、15日はネタてんこ盛りなので、半分14日分に書いちゃいます。なんか、夏休みの最後の日にまとめて書く絵日記みたいだな。いつ何したかわからなくなって、適当に書いちゃう。
さ、そんなこんなで、初めて男鹿半島に行きました。県の南部はどんよりとした空模様だったのですが、秋田市から北側はウソのように晴れ渡っていました。秋田道の昭和男鹿半島ICから新しい101号バイパスをしばらく走り、天王町に入ります。なんともいわくのありそうな町名ですな。ん?合併で潟上市になったのか?どう見ても八郎潟の下だが。いやいや、網野さんも言うように、北が上の地図に惑わされてはいかん。だいたい私の住む富士北麓でも南(つまり富士山の方)が上ではないか。
ま、そんなことはいいとして、男鹿市に入ると海が目の前に広がるかと思いきや、意外にも山の中へ。そこにこれまた新しくできたらしい「なまはげライン」が伸びます。実に快適なドライブ。
さあ、その山間部の中央になまはげで有名な真山(しんざん)地区があります。そこに真山神社と、併設された「なまはげ館」および「男鹿真山伝承館」が鎮座しております。ワタクシ的には神仏習合の極致とも言える真山神社に興味があったのですが、まあ子どもの意向に従わないと、長丁場乗り切れませんから、とりあえず「なまはげ館」だけ拝観しました。
いやあ、それがなかなかどうして、けっこう良かったんですよ。中はただ大量のなまはげが並んでるだけと言えばそれまでなんですが、そこで上映されたドキュメンタリー映画に、ものすごく感動しちゃったんです。たぶん泣いてたのは私だけでしょう。いや、ホントに泣けたんです。これぞ日本の文化。知恵。宗教ではなく、でも信仰なんです。
真山地区に残る伝統的ななまはげ行事を記録した良質なドキュメンタリーでして、淡々とした映像と語りが、どこか新日本紀行を彷彿とさせます(頭の中を冨田勲が流れていく)。
結論から言ってしまうと、このなまはげ行事は全世界で必修でしょう。あんなことすると、トラウマになるとか言う人もいるらしいのですが、ちょっと次元が違いますよ。たしかに恐ろしいけれど、完全なる救済が待っているんですから。カタルシスですよ。そしてその救世主となるのは、家長です。父権です。その救い方がまたいいじゃないですか。お酒をふるまって、食べ物や金銭もあげて、ゴマをすって、お世辞を述べて、おべっかを使う。それで機嫌がよくなるんです。こういう構図は、日本の伝統的な神道の世界そのものです。
日本の神様はけっこう怒りっぽい。気に入らないとすぐ暴れる。で、それをなだめるのが人間の仕事。力や理屈で封じ込めるのではありません。たとえ形式であっても、祭り上げることによってのみ、その場の平安が保証される。そして、ただ怒りが収まるのではなくて、たとえばなまはげはその年の豊作と幸福を保証するわけです。怒りから恵みへ。その振幅の大きさが、日本文化のダイナミズムです。
襲撃された子供たちは、一生懸命勉強して、お手伝いすることを誓います。なんだか知らないけれど、とんでもなく恐いモノ。そういうモノの存在こそ大切だと思います。親も「なまはげがくるど」と何度でも言える。これは教育ではないのかもしれません。しかし、教育なんていう近代的なものを超える絆もあるでしょう。そして子どもたちは大人になって、今度はなまはげになる。そしてさらに家長になって、救い人となる。美しい循環です。
なまはげ…怠け者をはぐという意味だとも言います。私なんかも、常にゴマすってないと大変なことになっちゃうな。いやいっそのことはいでもらっちゃいたいような…。いずれにせよ、今の所、なまはげにも救い主にもなれないな。しっかりしなきゃ。
さて、なまはげから解放された私たちは、そのあと近くの男鹿水族館GAO(これもネーミングの妙?)に行きました。なかなか良かったですよ。白熊の豪太くん(豪州から来たからでしょうな)もちゃんといましたし。子供たちは大満足のご様子でした。なまはげと水族館…この振幅は子供たちにも心地よかったようです。振幅かあ…。
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