不思議なお墓参り(秋田の山村宗教事情)
今日はお盆のお墓参り。別にフツウのことですよねえ。ところが、ここでもまた恐るべし秋田…。
まず、みんなで近くの墓地に向かいます。小さな里山の斜面にお墓が何十基か並んでいます。別にフツウの光景ですね。
ちなみにカミさんの実家は神道です。仏壇ではなく(どう見ても仏壇ですが)神棚です。手を合わせる時は二拍手をします。で、神道なのになぜに「お盆」なのか。盂蘭盆会なのか。でも、そんなことはどうでもいいのです。それが神仏習合でありますし、昨日書いた、秋田の懐の深さであります。とにかく御先祖様に手を合わせましょう。
さあ、墓石に近づきますと、ちょっとフツウではない光景が。カミさんの実家の墓石はフツウに「○○家之墓」と掘り込んであるのですけれど、例えば隣の墓石には「○○家奥津城」とあります。オクツキとは墓のことを指す神道用語ですね。お〜っ!ちょっとカッコいい。
で、横にある神霊譜を拝見いたしますと、「○○命」とあります。「○○居士」とかじゃなくてです。あっ、「○○いのち」じゃないですよ。それじゃあ、吉原になっちゃう。「みこと」です「みこと」。神様になるんですね。うん、ちょっとうらやましい。
で、こんな感じのお供えをします。何日か置いておくと、山の獣に食べられちゃうとか。熊が食べに来ることもあるらしい。う〜む、本当の意味での施食(せじき)だ。すばらしい。
水でお墓を清めて、お線香をあげて柏手を打ちます。おお、習合しまくり。異文化の融和。美しい。
周囲を見渡してみますと、仏教系のお墓もあります。卒塔婆に書かれた文句も完全に仏教。日蓮宗と曹洞宗がありました。聞く所によると、あまりの山間部のため、仏教が伝来しなかったとか。たしかに一山越えないとお寺はありません。神社はいたる所にあります。家よりも神社の方が多かったりして。神様はやはり山の神さまが多いようですが、白山や八幡、天神や諏訪なども見られました。
やはり、秋田には縄文のにおいがプンプンと残っていますね。鎌倉仏教の伝来もかなり遅れたようですし、中央とは違って、仏教も土着の信仰の方にかなり歩み寄ったと見ました。このあたりも、昨日の言語感覚と同じなのでしょう。
ちなみに東北地方を旅すると目に付くのが、家々の壁に掲示された「見よ、私はすぐに来る」とか「死後の行き先を決めて下さい」とか「信じるものは救われる」とかいうキリスト教の看板?です。そう、あの黒地に白と黄色の文字のやつです。あれはどういう系統のものなんでしょう。最近は手書きではなく、活字のものも見られるようになりましたから、今でも宣伝活動しているのでしょう。あの東北の風景に実にマッチしてるんですよね。たしかに、大陸から直接キリスト教が流入している形跡もありますし。なにしろキリストの墓がありますからね、青森には。明日はそこへ行ってみようと思います。お盆にキリストの墓参り。いいですね。
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