「アルヴェあるべ?」 秋田の微妙なセンスに乾杯(完敗)!
さて、昨日の夜富士山を出発しまして、本日の朝秋田入りいたしました。いつものコースです。帰省シーズンでも全く渋滞知らずのいいコースですねえ。さらに今回はETCの割引をフルに利用しまして、本来10000円近くかかるところを6000円ちょいで済ませました。具体的には、朝夕の通勤割引(5割引)と深夜割引(3割引)を利用したわけです。これはお得だ。まあ、深夜に長距離走行する辛さはありますけどね。
さて、予定より早く秋田入りしましたので、いつもは本荘の南から内陸に入っていくところを、ちょっと足を伸ばして秋田市に行ってみました。私は秋田市は初めてです。カミさんももう何年も秋田市には行っていないとのこと。そこで、大学時代を秋田市で過ごしたカミさんの妹に電話して、どこか見どころはないかと聞いたのですが、そこで返ってきた言葉は「あるべあるべ?」。
私にはなんのことかさっぱりわからなかったのですが、どうも秋田の駅前に数年前新しい施設ができたらしい。その名が「ALVE」いや正確には「AL☆VE」だというわけです。う〜む、これは語源を知りたい。ということで調べてみますと、彦星の「アルタイル」と織姫星の「ヴェガ」を合わせたとのこと。さらにイタリア語の「アルヴェアーレ(たくさんの人が集まるところ)」と、やっぱり秋田弁の「あるべ」もかけてあるらしい。ううううう…。
素晴らしいではないですか。ちょうど昨夜は旧暦の七夕だし。感動的ですな。
ちょっと長くなりますが、いいですか。前々から気になっていたことがあるんですよ。それは秋田の皆さんの言語感覚です。これは決して悪い意味ではなく、非常に興味深いということですよ。
たとえば、今ここに秋田県の観光地図があるんですが、そうですねえ、秋田名物の温泉施設名を列挙してみましょうか。
湯夢湯夢(とむとむ) ゆとりランド ゆめろん くらら 湯楽里(ゆらり) ユップラ クアドーム・ザ・ブーン ユアシス ユメリア 湯とぴあ ゆとりおん ゆ〜らく としとらんど
まだまだあるんですが、このくらいで。どうですか。素晴らしいセンスでしょう。一歩間違うとダサダサになりかねませんが、なんというんでしょうか、ちょっと外来語的(近未来的)でありながら、どこか日本語的(伝統的)でもあります。こういったセンスは街のいたる所で見かけられます。そしてそのセンス自体が街に溶け込んでいるというか、街を創っている。これは実に興味深いことです。東京ではまた違う言葉のセンスが街を創っているでしょう。つまり、秋田に限らず、言語のセンスと風土とは切っても切れない関係なのです。
で、秋田と外来語ということで言えば、もっと生活に根ざした所でも面白いことがあります。秋田弁を聞いていても、私の頭の中ではほとんど活字に変換されないのですが、秋田弁の辞典をパラパラめくっていますと、その語源が漢語であることが多いのに驚きます。ちょっと思いついたところでは「徒然(とぜ)ねぁ」とか「鷹揚(おうよう)」とか。私の推測では、江戸時代になって、漢語調の書き物が多く流入するようになって、それを生活語に取り入れるようになったのではないかと思われます。あるいはもっと古く、僧などによってもたらされたか。
いずれにせよ、漢語ももちろん外来語の一つです。そうした語に近未来的なオシャレさを感じるのは、人間の本能のようですね。そして、それが流行し、いつか流行ではなくなる。消えるか伝統になるかです。標準語でも方言でも、漢語やカタカナ語がいかに多いことか。
どうも秋田の皆さんは、意外に進取の精神に満ちているようですね。平賀源内がもたらした蘭画が独自の発展を見せたり、菅江真澄が住みついたり、平田篤胤が登場したりするのも、そうした進取の精神があったからではないでしょうか。
しかし、それが、う〜んなんていうかなあ、やっぱり風土の中で醸成されてしまって、結果として生活臭のする独特のセンスを生むんじゃないかなあ。おそらく、私たちが考えている以上に、大陸の文化が入ってきているでしょうし、落人もたくさん来てるでしょうし、ある意味ものすごく国際的な感覚を身につけているのではないでしょうか。受容が案外得意なんですよ。ただ、表面上はちょっとカッコつけてる。でもすぐに本来の自分になってしまう。そういう方法で受容していく。
ちなみにアルヴェですが、駅反対側のアトリオン同様、ものすごい箱です。それこそ近未来的な箱ものです。し、しかしアトリオンは言わずもがな、アルヴェもすでに中身が「あるべ」になっちゃってました。これこそ、言語と同様の現象です。おそるべし秋田のセンス!もう心から秋田LOVEですね。
(追伸 そういえば、山梨にも「アルジャンがあるじゃん!」…おそるべし田舎)
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