ランペ指揮ノヴァ・ストラヴァガンツァ 『バッハ 初期形の組曲』
Siegbert Rampe Nova Stravaganza 『J.S.Bach The Early Overture』
今日は残念ながら研修に参加せねばならなくて、都留音楽祭には顔を出せませんでした。ミューラーさんのテノールリサイタルも楽しみにしてたのに。まあ、昨日たっぷりリハーサルを聞かせてもらいましたからいいとしましょう。
それで、研修から帰ってきたら、ちょうどいいタイミングで面白いCDが届いてましたのでおススメしておきます。
昨日のコンサート、特に管弦楽組曲が良かったのですが、そのソロを吹いておられた中村忠さんとこんな話をしました。どうも古楽界には理論や様式や楽器にばかりこだわる学者タイプ、あるいはオタクタイプが多くて困る…アマチュアはまだしもプロにもそういう方がいらっしゃる…そういう方は音楽をするという本来の仕事を忘れている…。こんな感じですかね。プロレス談義の合間にちょこっと話したんで、もう少しくだけた言い方だったと思いますけど。で、いつか私もここでおススメしましたが、中村さんも参加されていた「復元カンタータコンサート」のリフキンさんなんかも、どちらかというとやっぱり学者さんだったらしい。いい人なんだけれど。
今日届いたCDにもリフキンさんの研究の成果がかなり取り入れられています。簡単に言うと、我々がふだん耳にしているバッハの四つの管組には古い形があって、楽器編成がいわゆる最終形よりもかなりシンプルであった、という研究に基づいて、それを復元して演奏録音したシロモノです。
つまり、学者的、オタク的なアプローチですね。たしかにそういう意味でも面白かった。何しろ…
第1番は各パート1名。チェロ入ってないんじゃないかなあ。16フィートは鳴ってるけど。
第2番はホントすごいことになってますよ。まず、あのソロがトラヴェルソではありません。なんとヴァイオリンです。で、調性は1音低くイ短調。
第3番は弦のみ。トランペットやティンパニはもちろん、オーボエも入っていません。
第4番はトランペットとティンパニ抜きです。
リフキンさんやランペさんの最新の研究の成果のようですね。当時の楽団の状況やら、写譜の間違いやらを調べて、こんな結果になったようです。
で、聴いた感じですけれども、非常に面白かった。楽曲としても新鮮でしたし、編成が軽やかになった分(実際はそれ以上なんですが)演奏も軽やかで(実際は超高速運転なんですが)新鮮。やっぱり特に2番ですかねえ。ヴァイオリン版も悪くない。かなり地味な響きですけれど。いや、個人的には3番も好きだな。アリアだけなんで弦合奏なんだ?って思ってましたが、なるほど全部弦だけってのもアリですな。
アマチュア演奏家としては、こういうのは実にうれしいんですね。なかなか古楽器でトランペットとティンパニを集めるのは難しい。だから演奏したくてもできなかったんですよ、今まで。オリジナル主義という自縄自縛状態で涙を飲んでいた私たちも、これからは3番も堂々とやれるじゃないですか。2番についても、ヴァイオリン弾きとしては実にうれしいレパートリー追加ですよ。憧れでしたからね。なるほどa mollで弾くのか。早速やってみよっと。
ところで、この演奏、さっき書いたように超高速な上に、ピッチは394。さらにレコーディング場所はケーテン城ということで、ホントに不思議な不思議な響きになっています。ピッチのことで言えば、通常の2番をモダンで演奏した場合比べると、ほぼ2全音分低い。これでは別物になるはずです。
で、実は一番びっくりしたのは、有名な3番のアリアの装飾です。ちょっとやりすぎかもしれませんが、面白さということでは、今まででもピカイチでしょう。ちょっとパクらせてもいます。
Amazon J.S.Bach The Early Overture
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