マイク・ノック 『チェンジング・シーズンズ』
Mike Nock 『Changing Seasons』
久々に渋いジャズでも聴きましょうか。今日取り出してきたのは、オーストラリアを代表する(出身はニュージーランドだったかな)ジャズ・ピアニスト、マイク・ノックの作品です。
マイク・ノックは、今でもNAXOSのジャズ部門のプロデュースしてるんでしょうか。才能ある世界中のマイナー・アーティストを発掘する同レーベルのジャズCD。マイク・ノックに認められてメジャーになっていった奏者もたくさんいます。アルバム1枚1000円というのがまた素晴らしい。
で、御自身の作品としては、これが最新のものでしょうか。2002年の録音です。編成は普通のピアノ・トリオでありますが、そこに展開されている音楽は、実に充実しております。私はこのアルバム好きなんですよ。
やはり、アメリカでもなく、ヨーロッパでもない、オーストラリアだというのもあると思いますが、大変新鮮に耳に響く音楽を奏でる人ですね。もともと、アイヒャーに認められてECMからレコードを出していただけのことはあります。マイケル・ブレッカーとの共演アルバムも聴いたことがありますけれども、それも良かった。ものすごく個性的というわけではありません。どちらかというと、何でもそこそこにこなすというタイプ。まあ、そういう懐の広さ深さがプロデュース業に向いているんだと思いますけど。
このアルバムは、そういう意味で、いろいろな人から多くを吸収して、そしてそれらが自分の中でいい具合に熟成された、その好機に録音されたという感じなんですね。いろいろなタイプの曲が並んでいるんですが、聴き終わると、やっぱりマイク・ノックだったな、という印象を残す。たぶん、そのマイク・ノック色というのは、このアルバム・ジャケットのような色。何気ない風景だけれども、ものすごくセンチメンタルな気持ちにさせてくれる風景。よく聴き込めば聴き込むほど、味が出てきます。
そう、なんか「するめ」なんですよね。決しておっしゃれ〜という感じはない。ニューヨークの夜景とかいう感じではない。けれども、いろんな味がしみ込んでいて、ついつい手が伸びる。うん、好きですね、こういう音楽。
このアルバムは「季節の移り変わり」というタイトルがついていますね。9曲目に「春から夏へ」という曲が、そして掉尾に「冬から春へ」という曲が収録されています。この2曲は、非常に印象的な作品です。音による絵画といった風です。絵巻物でしょうか。季節に伴う空気の色合いの変化、光のエネルギーの変化、そんなものすら感じさせる楽曲と演奏になっています。そこに、日本の季節感を見るのは私だけでしょうか。
マイク・ノックの奥さんは高橋ゆりさんという日本美人です。
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