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2005.08.28

『 微妙なマナーがずばり!わかる本』(KAWADE夢文庫)

4309495893 How toものなんて、ほとんど私には必要ありません。てか、読むのが面倒だし、習うより慣れろ式の人生を歩んできた私には、あんまり意味がないんですね。こんなんだから、生徒に教える時も、まあ慣れるしかねえな、っていうことになっちゃう。彼らが要求しているのは間違いなくHow toなんですが。
 でも、世の中には試行錯誤が許されない分野というのがあります。また、学校ではほとんど教えてもらえないし、実習の機会が極端に少ないものもあります。自分の趣味で練習できないもの。そういったものの代表格が、社会におけるマナーやしきたりではないでしょうか。これらについては、マニュアルを手に入れて、能率的に学習していかなければなりません。
 私もいつのまにか、バカボンのパパと同い年になってしまいました。かといって彼のように自由に生きる才能も勇気もないのであって、つまりは常識ある社会人として日々生きていかなければならない立場におかれているわけです。しかし、先生なんていう社会性のない非常識な仕事をしているおかげで、なかなかその常識とやらを身につけられず今まで来てしまいました。
 きっと、そんな実は自信なしなしの大人たちに買ってもらうために書かれた、というか作られた本の一つなんでしょう。これはたいへんためになりました。そして、それ以上に心を動かされました。
 本来は辞典的に使うべき本なのでしょう。つまり困ったことがあったら似た事例を探して解決策を得るという使い方です。私もそういうつもりでコンビニで買ったんです。ところがペラペラめくっているうちに止まらなくなってしまって、結局全部読んでしまったのです。
 冠婚葬祭、贈答、招待、手紙に電話、食事、さらには職場での人間関係から近所づきあいまで。全部で200に及ぶ事態と常識的対処法が書かれています。それらの事態がなんともありそうな、また今まで経験してきたけれど、その時どうしてよいかわからない妙な緊張や違和感を抱いたようなシーンばかりなんですよね。例を書き出すとキリがないので、まえがきと裏表紙に載っているものを写しますね。
 お中元・お歳暮を贈るのをやめたいときは? もらった祝儀袋の中身がカラだったら? 訪問客にそろそろ帰ってほしいときは? 結婚通知のはがきで結婚を知ったとき、お祝いは贈るもの? 目上の人との重要な用件に、携帯電話から電話するのは失礼か? どの程度のおつきあいの人なら、病院にお見舞いに行く? 見知らぬお年寄りに声をかけるときは、何というか? リストラで退職する人でも、送別会はやったほうがいいか?
 う〜ん、たしかにこういうことは学校にも親にも教わってこなかったなあ。だいたい、一生に一回遭遇するかどうかという事例が多い。だからこそ分からないし失敗もできない。他にも、
 列車で駅弁を食べるとき、まわりの人に断るべき?
なんてのもあって面白い。ああ、自分だけでなく世の中には軽い非常識症状のオトナの方々がいらっしゃるんだ。そういう、言うに言えない、日常の俎上に登らない共通感情みたいなものが面白おかしいですね。意味のあるようなないような非日常的常識(こういう存在自体パラドックスですね)に、人間は縛られ、躍らされ、不安にさせられているわけです。この200の事例、マンガやコントにしたら絶対おもしろいですよ。ふだんは潜在意識に閉じこめられている、こういう共通感情を舞台に上げるのが、笑いの基本ですからね。
 ただ、正直読んでて楽しいだけじゃなかった。今まで犯した業務上過失非常識(ん?未必の故意もあったかな)の数々に胸が痛んだのも事実です。
 そして、たぶんこの本を読んでも、再犯は免れないでしょうね。まあ、加害、被害、相半ばでしょうから、お互い様ということで…。
 
Amazon 微妙なマナーがずばり!わかる本

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