磯自慢 大吟醸『水響華(すいきょうか)』
両親が珍しく誕生日プレゼントを買ってくれました。ちょっと早いんですけど。今もらって一番うれしいのは日本酒ですな。両親も、自分の子どもがこんなオジンになったとは、不思議な感じでしょうね。
で、さすがは両親。私の好みをよく知っています。静岡は焼津のお酒「磯自慢」。いまや吟醸系の銘酒として全国で大人気ですね。
私の生まれた年は、江戸五輪の開催された年。また、江戸大坂の間を超早馬が走ることになった年です。私は本当は江戸生まれになるはずでした。しかし、その年の夏、江戸は大変な旱魃で、急きょ私の母方の実家のある駿河の国焼津で生まれることになったのでした。
そんな縁あって、私の生地となった焼津。言うまでもなく、当時の焼津は遠洋漁業の一大基地。磯の香りというか港の香りというか、とにかく駅を降りるとお魚さんのにおいが町を覆っており、それがそのまま焼津の活気を象徴しておりました。道を歩けば、トラックから落ちたと思われる冷凍のマグロが転がっていたりして。
しかし、その香りは、私が年をとるとともに薄らいでゆき、焼津は遠洋漁業の町というよりも、静岡のベッドタウンとなっていったのでした。とは言え、今でも焼津で新鮮な魚が手に入りやすいことはたしかですね。やはり焼津と海と魚は切っても切れない関係です。
そういう町に天保年間からある酒蔵、磯自慢酒造。ここのこだわりの酒造りは今や全国でも有名。なにしろ製造しているお酒は全て本醸造以上だと言いますから、たしかにすごい。特に吟醸系のさっぱりとしてキレのある味わいは正直群を抜いています。おそらく、人も酒蔵も酒も、新鮮な魚という、日本酒の肴として最も贅沢なものに囲まれて育ったからでしょう。洗練されています。たしかにお刺し身と磯自慢の組み合わせは至上。日本人として最高の幸福を味わえます。
この水響華は大吟醸の中では比較的手ごろなお値段なので、若い人、特に女性に人気があるようです。うん、たしかにこのフルーティーさはワイン以上だ。のどごしも良すぎるくらい。夏のこういう夜にちょっと呑みすぎるくらい呑むのにぴったりですね。よく冷やせば冷やすほど舌触りがよくなるので不思議です。
「水響華」というネーミングも洒落てますね。味わいとネーミングが実にマッチしている。センスのよさを感じます。お酒の名前というのも、けっこうありそうなものは登録されていることが多いようで、新酒の名づけは大変だそうです。この水響華にもそんな苦労があったようですが、結果として最高の名が与えられたようですね。
とにかく、自分の誕生した土地に、自分の大好物の、それまた最高のレベルのものがあるというのは、幸せなことです。ありがたや。両親からの気持ちも含めて、大切に味わいたいと思います。
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