『猫の文明』 赤瀬川原平 (毎日新聞社)
最近ダメです。どうもストレスというやつらしい。で、その原因は自分にあるというのはわかっているわけでして、どうにも厄介な自家中毒であります。日頃のいいかげん(良い加減ではなくloose)のシワよせですな。ゆるんでばかりじゃダメってことです。まっ、私のことですから、また適当に乗り切っちゃうと思いますのでご心配なく。ってか、誰も心配しないか。
こんな時はさっさと仕事を片づけて…ではなく、さっさと現実逃避しましょう。いきなりリゾートとしゃれこみます。住んでるところがリゾート地のど真ん中ではありますが、そこでもストレスが解消できないとなると、これはもうあそこに行くしかない。そう、脳内リゾートです。
この脳内リゾートという技、たぶん赤瀬川原平さんの発案だと思います。バブルが崩壊して、ホンモノ?のリゾート地が夢の跡みたいになっちゃた後、要は金のかからんリゾート地はないだろうか、といろいろ考えていたら、あったあった、灯台下暗しだ、ということだったのでは。身近も身近、自分の脳ミソの中にあったと。
自分の脳ミソの中にも、日常的でない心地よい環境が開発されず残っている。ちょっと工夫して開発してみると、そこには経験したことのないような快感が…。赤瀬川さんで言えば、たとえばステレオ写真。私もはまりました。そして、それを共有する「茶会」。なるほど、日常の喧騒やらストレスから解放されて、全く新しい空気を吸うことができる。
で、この本は「脳内リゾート計画」として連載されたものの加筆編集版です。当時、つまりバブル崩壊後の、あの何かを悟ってしまったかのような空気を、ゆる〜く脱力した街の風景と猫(こっちはいつもゆるいか)の写真、および軽みをきわめた文章によって、見事に描写した内容です。てか、見事もなにも、あんまり深く考えていない。そうじゃないと全然リゾートじゃないですしね。
久々に読んだり、眺めたりしましたけど、なるほどリゾートですな。再びソートするという感覚。リクリエーションとかリラックスとかもそうですね。時々「リ」をしないと、人間は一本調子になって肩が凝ってしまう。一本で行くことも大切ではありますが、照顧することもまた必要なことです。心においても体においても、それらのアレンジメントが上手にできればいいですね。金をかけずできればさらに良し。人生の達人。
し、しかし、リゾート地から帰還するとそこには現実が…。よったシワを伸ばしたのではなく、さらに先送りしただけ。でも、そのうちシワも積もれば山となる。立派な山になったら、そこをリゾート開発しようかな。なんてね。
あっ、そうそう、この本、後半は猫より犬が多くなる。ちょっと人里に帰ってきたような気がします。まあ、そうして少しずつ現実に戻らないとね。読者に対する赤瀬川さんのちょっとした思いやりでしょうか。
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